2026年版・3-4

刑事責任とリスク管理の一問一答

ビジネス実務法務検定試験®2級「法的紛争の予防とコンプライアンス」から、刑事責任とリスク管理に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-4

刑法及び行政取締法規における両罰規定の意義に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①両罰規定とは、従業員等が業務に関して違反行為をした場合に、行為者本人だけでなく事業主である法人等も罰する規定をいう。
  • ②両罰規定とは、一つの犯罪行為について、行為者本人のみを重ねて二重に処罰することを認める特別な規定のことをいう。
  • ③両罰規定とは、被害者が加害者と被害者自身の双方に対して同時に損害賠償を請求できることを定めた民事上の規定のことをいう。
  • ④両罰規定とは、法人の代表者が行った違反行為にのみ適用され、従業員による違反行為には適用されない規定のことをいう。
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正解 ①両罰規定とは、従業員等が業務に関して違反行為をした場合に、行為者本人だけでなく事業主である法人等も罰する規定をいう。
解説
両罰規定は行政取締法規等に多く設けられており、法人処罰を通じて実効性のある違反防止を図る趣旨に基づく。

他の選択肢の誤り:
・両罰規定は行為者と事業主の双方を罰するものであり、行為者のみを二重処罰する規定ではない。
・両罰規定は刑事罰に関する規定であり、民事上の損害賠償請求権を定めるものではない。
・両罰規定は法人の代表者に限らず、業務に従事する使用人その他の従業者による違反行為にも広く適用される。
問23-4

両罰規定における法人の責任の性質に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①両罰規定に基づく事業主の処罰は、多くの場合、従業員に対する選任監督上の過失の存在を前提とする過失責任である。
  • ②両罰規定に基づく事業主の処罰は、事業主に過失がなくても、結果さえ発生すれば例外なく成立する無過失責任である。
  • ③両罰規定に基づく事業主の処罰は、行為者本人が有罪判決を受けたことを条件として初めて成立するものである。
  • ④両罰規定に基づく事業主の処罰は、行為者本人に科される罰金額を超えない範囲でのみ科すことができるものである。
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正解 ①両罰規定に基づく事業主の処罰は、多くの場合、従業員に対する選任監督上の過失の存在を前提とする過失責任である。
解説
最高裁判例は、両罰規定による事業主の処罰について、選任監督上の過失の推定を前提とする過失責任と位置付けている。

他の選択肢の誤り:
・完全な無過失責任ではなく、過失の推定を前提とする点に判例の立場の特徴がある。
・行為者本人の有罪が確定していなくても、事業主が処罰される余地があるとされる。
・両罰規定に基づき事業主に科される罰金額は行為者本人の罰金額と連動するものではなく、行為者の罰金額を超えない範囲に限定されるものではない。
問33-4

両罰規定が適用される場合の行為者本人の処罰に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①両罰規定が適用される場合、事業主が処罰されることに加えて、違反行為を行った従業員本人も別途処罰の対象となる。
  • ②両罰規定が適用される場合、事業主のみが処罰され、実際に違反行為を行った従業員本人は常に処罰を免れる。
  • ③両罰規定が適用される場合、従業員本人に対する処罰は、事業主に対する有罪判決が確定していることを前提要件とする。
  • ④両罰規定が適用される場合、従業員本人が刑に服したときは、事業主が違反行為について重ねて処罰されることはない。
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正解 ①両罰規定が適用される場合、事業主が処罰されることに加えて、違反行為を行った従業員本人も別途処罰の対象となる。
解説
両罰規定は行為者処罰規定に加えて事業主も罰するものであり、「両罰」の名のとおり双方が処罰対象となる。

他の選択肢の誤り:
・両罰規定の趣旨は行為者と事業主の双方を処罰する点にあり、行為者が免責されるわけではない。
・従業員本人に対する処罰は、事業主に対する有罪判決の確定を前提とするものではなく、両者の処罰の成否は原則として独立して判断される。
・両罰規定は行為者と事業主の双方を処罰する規定であり、一方が処罰を受けたことをもって他方が当然に処罰を免れるものではない。
問43-4

独占禁止法違反行為と法人処罰に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①独占禁止法にも両罰規定が設けられており、カルテル等の違反行為について行為者に加えて法人にも刑事罰が科され得る。
  • ②独占禁止法に基づく違反行為に対する制裁は行政上の課徴金納付命令に限られており、刑事罰が科されることは一切ない。
  • ③独占禁止法違反行為について法人が刑事罰を科された場合であっても、法人には課徴金が重ねて科されることはない。
  • ④独占禁止法には両罰規定に相当する規定が存在せず、違反行為を行った従業員個人のみが常に刑事罰の対象となる。
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正解 ①独占禁止法にも両罰規定が設けられており、カルテル等の違反行為について行為者に加えて法人にも刑事罰が科され得る。
解説
独占禁止法は刑事罰と行政上の課徴金納付命令の双方を定めており、両罰規定により法人も刑事責任を負い得る。

他の選択肢の誤り:
・独占禁止法には刑事罰の規定もあり、制裁が課徴金のみに限られるわけではない。
・刑事罰と課徴金は目的・性質を異にする制裁であり、両方が併科され得る。
・独占禁止法にも両罰規定が設けられ、法人も処罰対象となる。
問53-4

不正競争防止法における外国公務員贈賄罪に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①外国公務員贈賄罪は、国際商取引に関し外国公務員に不正な利益を供与する行為を処罰するもので、両罰規定により法人も罰せられ得る。
  • ②外国公務員贈賄罪は、そもそも日本国内において日本国の公務員のみに賄賂を供与した場合にのみ成立する犯罪類型のことをいう。
  • ③外国公務員贈賄罪については、行為者である従業員個人のみが処罰の対象となり、法人まで処罰される制度には一切なっていない。
  • ④外国公務員贈賄罪というものは、外国公務員から金銭の要求があった場合に、これに応じないこと自体を処罰する犯罪類型のことをいう。
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正解 ①外国公務員贈賄罪は、国際商取引に関し外国公務員に不正な利益を供与する行為を処罰するもので、両罰規定により法人も罰せられ得る。
解説
不正競争防止法は国際商取引の公正確保の観点から外国公務員贈賄罪を定めており、両罰規定により法人にも重い罰金が科され得る。

他の選択肢の誤り:
・日本の公務員への贈賄は刑法の贈賄罪の問題であり、外国公務員贈賄罪とは別の犯罪類型である。
・不正競争防止法にも両罰規定が設けられ、法人も処罰の対象となり得る。
・処罰対象は不正な利益を供与する行為であり、要求に応じないこと自体を処罰するものではない。
問63-4

企業犯罪のリスク管理における内部監査・コンプライアンス体制の整備に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①内部監査やコンプライアンス体制の整備は、違反行為の早期発見と再発防止に資し、両罰規定上の選任監督義務の履践としても意義を持つ。
  • ②内部監査やコンプライアンス体制を整備してさえいれば、両罰規定に基づく事業主の刑事責任は、法律上当然かつ一律に免除される。
  • ③内部監査体制の整備は、金融商品取引法上の内部統制報告制度の対象となる上場企業についてのみ求められ、非上場企業では不要である。
  • ④コンプライアンス体制の整備状況は、選任監督上の注意の有無にかかわらず、両罰規定の適用の有無の判断において考慮されることはない。
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正解 ①内部監査やコンプライアンス体制の整備は、違反行為の早期発見と再発防止に資し、両罰規定上の選任監督義務の履践としても意義を持つ。
解説
選任監督上の相当の注意を尽くしていた事情は、両罰規定における事業主の免責事由等の判断において考慮され得る。

他の選択肢の誤り:
・体制の整備は考慮要素にとどまり、それだけで刑事責任が当然かつ一律に免除されるわけではない。
・内部監査体制の必要性は上場・非上場を問わず、企業規模等に応じて求められる。
・体制の整備状況は選任監督上の注意の有無の判断において考慮され得る事情である。
問73-4

企業における危機管理(クライシスマネジメント)の基本的な考え方に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①不祥事発覚時には、速やかな調査、正確な情報開示、再発防止策の策定を通じて信頼回復を図ることが重要である。
  • ②不祥事が発覚した場合、社内での担当者の責任追及を最優先し、情報開示は可能な限り遅らせることが望ましい。
  • ③危機管理においては、事実関係が完全に確定するまでの間は、経営陣が暫定的な対応方針を検討する必要は一切ない。
  • ④危機管理の目的は、専ら法的責任を免れることのみにあり、顧客や取引先との信頼関係の維持は考慮する必要がない。
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正解 ①不祥事発覚時には、速やかな調査、正確な情報開示、再発防止策の策定を通じて信頼回復を図ることが重要である。
解説
危機管理の要諦は、初動での事実確認と適時適切な情報開示により、企業の社会的信用の毀損を最小限に抑えることにある。

他の選択肢の誤り:
・情報開示の遅延はかえって信頼喪失を招くおそれがあり、望ましい対応とはいえない。
・経営陣は事実関係の確定を待たずとも、暫定的な対応方針の検討を進めるべきである。
・危機管理は法的責任の回避のみならず、ステークホルダーの信頼維持を重要な目的とする。
問83-4

企業内で不正行為が発覚した際の初動対応に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①初動対応としては、関係証拠の保全を図りつつ、社内調査委員会の設置等により客観的な事実関係の把握に努めることが重要である。
  • ②初動対応としては、関係する証拠書類やデータを全て速やかに廃棄し、不祥事の痕跡を残さないようにすることが実務上推奨される。
  • ③初動対応としては、内部通報を端緒とする場合でも、通報者を特定し得る情報を関係部署内で広く共有することが適切である。
  • ④初動対応としては、デジタル証拠の保全よりも通常業務への影響回避を優先し、ログの保存期間の経過後に着手することが適切である。
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正解 ①初動対応としては、関係証拠の保全を図りつつ、社内調査委員会の設置等により客観的な事実関係の把握に努めることが重要である。
解説
不正発覚時には証拠保全と客観的な事実調査が最優先であり、独立性のある調査体制の構築が信頼回復の鍵となる。

他の選択肢の誤り:
・証拠の廃棄は証拠隠滅として別途刑事責任を問われるおそれがあり(刑法104条)、許されない対応である。
・内部通報を端緒とする調査では、通報者を特定させる情報の共有は必要最小限にとどめるべきであり、広く共有することは通報者の探索や不利益取扱いを招く危険がある。
・証拠保全は不正発覚後速やかに行う必要があり、ログの保存期間の経過を待てば重要な証拠が失われるおそれがある。
問93-4

両罰規定が置かれている行政取締法規の具体例に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①労働基準法や食品衛生法など多くの行政取締法規には両罰規定が設けられ、違反行為をした従業員に加え法人にも罰金刑が科され得る。
  • ②両罰規定は刑法典に置かれる規定にのみ限られるものであり、労働基準法等の行政取締法規には現に一切設けられていない。
  • ③労働基準法違反については、行為者である使用者の代理人等が処罰されることはなく、雇用主である法人のみが処罰の対象となる。
  • ④食品衛生法違反については、法人の代表者自身が自ら直接に違反行為を実行した場合に限り、例外的に両罰規定が適用されるにとどまる。
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正解 ①労働基準法や食品衛生法など多くの行政取締法規には両罰規定が設けられ、違反行為をした従業員に加え法人にも罰金刑が科され得る。
解説
両罰規定は労働基準法や食品衛生法をはじめ多くの行政取締法規に設けられており、企業活動全般に関わるリスクとなっている。

他の選択肢の誤り:
・両罰規定は行政取締法規に広く設けられており、刑法典に限定されるものではない。
・労働基準法違反では違反行為をした使用者や代理人等の行為者本人も処罰の対象となる。
・食品衛生法の両罰規定は代表者に限らず、従業員等の行為者による違反にも適用され得る。
問103-4

両罰規定が設けられている趣旨に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①両罰規定は、行為者個人の処罰のみでは実効性に乏しい行政取締りの目的を、法人自体を処罰することで達成しようとする趣旨に基づく。
  • ②両罰規定は、法人を処罰することで行為者本人の刑事責任を完全に肩代わりさせることを主たる趣旨とする規定のことをいう。
  • ③両罰規定は、犯罪の被害者に対する損害賠償の履行をあらかじめ法人に義務付けることを目的とした民事上の規定のことをいう。
  • ④両罰規定は、法人に科される罰金を被害を受けた消費者や取引先への被害回復の原資に直接充当することを目的とした規定のことをいう。
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正解 ①両罰規定は、行為者個人の処罰のみでは実効性に乏しい行政取締りの目的を、法人自体を処罰することで達成しようとする趣旨に基づく。
解説
法人を処罰対象に加えることで、法人自体に選任監督や内部体制整備の動機付けを与え、行政目的の実効性を高める趣旨である。

他の選択肢の誤り:
・両罰規定は行為者本人の処罰に加えて法人も処罰するものであり、行為者の責任を肩代わりさせる規定ではない。
・両罰規定は刑事罰に関する規定であり、民事上の損害賠償義務を定める規定ではない。
・両罰規定に基づき法人に科される罰金は国庫に帰属するものであり、被害回復の原資として被害者に直接充当することを目的とした制度ではない。

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