2026年10月版・1-8

精神療法と心理社会的治療の一問一答

精神保健福祉士国家試験「精神医学と精神医療」から、精神療法と心理社会的治療に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

この分野の演習

全10問/解説つき・基本無料

アプリ形式で解く(全810問) 精神医学と精神医療の要点解説を読む
問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする多肢選択形式で、5つの選択肢から2つを選ぶ問題もあります。ここでは全て4択(正解は1つ)で出題し、2つを選ぶ問題は記述a〜dの組合せを選ぶ形で再現しています。

問11-8

B精神保健福祉士は、うつ病のAさん(40歳)から、主治医に認知行動療法をすすめられたと聞いた。ベック(Beck, A.)が体系化した認知療法(認知行動療法)の考え方として、正しいものはどれか。

  • ①症状を取り除こうとせず、あるがままに受け入れて目の前の行動に取り組む
  • ②無意識に抑圧された幼児期の葛藤を、自由連想と夢の分析によって明らかにする
  • ③出来事の受け止め方(自動思考)に注目し、偏った考え方を検討して柔軟にする
  • ④援助者は助言をせず、クライエントの話を無条件に受け入れて聴くことに徹する
答えと解説を見る
正解 ③出来事の受け止め方(自動思考)に注目し、偏った考え方を検討して柔軟にする
解説
ベックの認知療法では、ある出来事に対して瞬間的に浮かぶ考え(自動思考)や、その背景にある考え方の癖(スキーマ)が、気分や行動に影響すると考えます。
「全か無か思考」「過度の一般化」「べき思考」などの認知の歪みに気付き、根拠を検討して、よりバランスのとれた考え方を身に付けていきます。うつ病や不安症の治療で効果が確かめられています。

他の選択肢が誤りの理由
・自由連想と夢の分析:フロイトの精神分析です。
・あるがままに受け入れる:森田療法の考え方です。
・助言せず無条件に受け入れて聴く:ロジャーズの来談者中心療法の特徴に近い説明です。

覚え方のポイント
認知療法=「出来事」ではなく「受け止め方」を扱う。キーワードは自動思考・認知の歪み・スキーマです。
問21-8

不安が強く人前に出ることを避けているAさん(35歳)は、主治医から森田療法をすすめられ、どのような治療かをB精神保健福祉士に尋ねた。森田療法について、正しいものはどれか。

  • ①吉本伊信が創始し、身近な人との関係を3つの観点から具体的に振り返ることを中心とする
  • ②森田正馬が創始し、不安をあるがままに受け入れ、なすべき行動をとることを重視する
  • ③フロイトが創始し、無意識の葛藤を自由連想によって意識化することを中心とする
  • ④ロジャーズが創始し、カウンセラーの共感的理解と無条件の受容を中心としている
答えと解説を見る
正解 ②森田正馬が創始し、不安をあるがままに受け入れ、なすべき行動をとることを重視する
解説
森田療法は、日本の精神科医である森田正馬が1920年前後に創始した精神療法で、神経症(不安症など)の治療に用いられてきました。
不安や症状を取り除こうとするほどとらわれが強まると考え、不安を「あるがまま」に受け入れ、目の前のなすべきことに取り組むことを重視します。入院による森田療法では、絶対臥褥期、軽作業期、重作業期、生活訓練期の段階を経ます。

他の選択肢が誤りの理由
・吉本伊信・3つの観点:内観療法の説明です。
・フロイト・自由連想:精神分析療法の説明です。
・ロジャーズ・共感と受容:来談者中心療法の説明です。

覚え方のポイント
日本生まれの精神療法:森田療法(森田正馬・あるがまま)と内観療法(吉本伊信・3つの問い)。
問31-8

内観療法で、身近な人との関係を振り返る3つの観点として、正しいものはどれか。

  • ①していただいたこと、して返したこと、迷惑をかけたこと
  • ②楽しかったこと、悲しかったこと、腹が立ってしまったこと
  • ③得意なこと、苦手なこと、これから挑戦したいこと
  • ④過去の自分、現在の自分、未来の自分のそれぞれの姿
答えと解説を見る
正解 ①していただいたこと、して返したこと、迷惑をかけたこと
解説
内観療法は、吉本伊信が浄土真宗の修行法(身調べ)をもとに創始した日本の精神療法です。
母親や父親など身近な人に対する自分を、「していただいたこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」の3つの観点から、年代を区切って具体的に思い出していきます。集中内観では、1週間ほど屏風で仕切った場所にこもって行います。アルコール依存症の治療などにも応用されています。

他の選択肢が誤りの理由
・残りの3つ:いずれも内観療法の3つの観点ではありません。とくに「楽しかった・悲しかった」のように感情を振り返るものではなく、事実を具体的に思い出すのが内観療法の特徴です。

覚え方のポイント
内観の3つの問い=「してもらった・して返した・迷惑をかけた」。
問41-8

ロジャーズ(Rogers, C.)の来談者中心療法で、セラピストに求められる3つの条件として、正しいものはどれか。

  • ①積極的な助言、具体的な指示、行動の評価と修正
  • ②解釈、直面化、ワークスルー(徹底操作)
  • ③曝露、反応妨害、系統的脱感作
  • ④自己一致、無条件の肯定的関心、共感的理解
答えと解説を見る
正解 ④自己一致、無条件の肯定的関心、共感的理解
解説
ロジャーズは、人は本来、自ら成長しようとする力(自己実現の傾向)を持っていると考え、指示や解釈をせずにクライエントを中心に置く来談者中心療法を提唱しました。
セラピストに求められる条件として、自己一致(純粋性:セラピスト自身が偽りなくありのままであること)、無条件の肯定的関心(受容)、共感的理解の3つを挙げました。

他の選択肢が誤りの理由
・解釈、直面化、徹底操作:精神分析療法の技法です。
・曝露、反応妨害、系統的脱感作:行動療法の技法です。
・積極的な助言、具体的な指示、行動の評価と修正:援助者が主導する指示的な関わりで、指示や評価をしない来談者中心療法の考え方と合いません。

覚え方のポイント
ロジャーズの3条件=「自己一致」「無条件の肯定的関心」「共感的理解」。社会福祉の面接技術の土台にもなっています。
問51-8

防衛機制のうち、「合理化」の例として、正しいものはどれか。

  • ①攻撃的な気持ちを、スポーツに打ち込むことで社会的に認められる形で発散する
  • ②嫌いな相手に対して、かえって必要以上に親切な態度で接してしまう
  • ③自分が抱いている敵意を、相手が自分に敵意を持っていると感じてしまう
  • ④入社試験に落ちた人が「あの会社はもともと自分に合わなかった」と考える
答えと解説を見る
正解 ④入社試験に落ちた人が「あの会社はもともと自分に合わなかった」と考える
解説
防衛機制は、不安や葛藤から心を守るために無意識にはたらく心の仕組みで、フロイトが提唱し、娘のアンナ・フロイトが体系化しました。
合理化は、自分の失敗や満たされない欲求に、もっともらしい理由をつけて自分を納得させる機制です。イソップ物語の「すっぱいぶどう」が代表例です。

他の選択肢が誤りの理由
・嫌いな相手に親切にする:本心と反対の態度をとる「反動形成」です。
・自分の敵意を相手のものと感じる:「投影(投射)」です。
・攻撃性をスポーツで発散:社会的に価値のある形に置き換える「昇華」です。

覚え方のポイント
合理化=言い訳、反動形成=裏返し、投影=相手のせい、昇華=よい形に変える。
問61-8

家族療法の考え方として、正しいものはどれか。

  • ①親の養育態度が病気の原因であると考え、親への指導と訓練を中心に進めていく
  • ②症状を示す家族員だけに原因があると考え、その人を個別に面接して治療する
  • ③家族を一つのシステムととらえ、問題を家族全体の関係の中で理解しようとする
  • ④過去の出来事から原因を一つに特定し、原因から結果への流れで問題を理解する
答えと解説を見る
正解 ③家族を一つのシステムととらえ、問題を家族全体の関係の中で理解しようとする
解説
家族療法は、家族を互いに影響し合う一つのシステムとしてとらえ、問題を個人の中だけでなく、家族の関係やコミュニケーションのパターンの中で理解し、変化を促そうとする方法です。
問題を示している家族員を「IP(Identified Patient:患者とみなされた人)」と呼び、IPだけでなく家族全体に働きかけます。原因を一つに決めつけず、関係の循環(円環的因果律)として考えるのが特徴です。

他の選択肢が誤りの理由
・親の養育態度が原因:特定の家族員を原因とみなして責める見方で、家族療法は誰か一人を原因とする考え方をとりません。
・症状を示す家族員だけに原因:IPだけでなく家族全体の関係に働きかけるのが家族療法です。
・原因を一つに特定し一方向で理解:直線的因果律の考え方で、家族療法は関係の循環(円環的因果律)として理解します。

覚え方のポイント
家族療法のキーワード=「システム」「IP」「円環的因果律」。
問71-8

PTSDの治療法として用いられ、つらい記憶を思い浮かべながら左右に動く指を目で追うなどの両側性の刺激を加える方法はどれか。

  • ①SST
  • ②EMDR
  • ③WRAP
  • ④IPS
答えと解説を見る
正解 ②EMDR
解説
EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)は、シャピロ(Shapiro, F.)が開発したPTSDの治療法で、つらい記憶を思い浮かべながら、セラピストの指の動きを目で追うなどの左右交互の刺激を加え、記憶の処理を促します。
PTSDの治療には、ほかにトラウマに焦点を当てた認知行動療法(持続エクスポージャー療法、認知処理療法など)が有効とされています。

他の選択肢が誤りの理由
・SST:対人関係などの生活の技能を練習する方法です。
・WRAP:当事者が自分の元気を保つための行動計画を作る方法です。
・IPS:一般就労を目指す個別の就労支援のモデルです。

覚え方のポイント
PTSD=EMDRと持続エクスポージャー療法。SST・WRAP・IPSはリハビリテーションの用語として別に覚えます。
問81-8

ヤーロム(Yalom, I.)が示した集団精神療法の治療的な因子のうち、「普遍性」の説明として正しいものはどれか。

  • ①悩んでいるのは自分だけではないと知り、安心や孤立感の軽減につながること
  • ②ほかのメンバーの回復した姿を見て、自分も良くなれるという希望を持つこと
  • ③ほかのメンバーを助ける経験を通して、自分の価値を感じられるようになること
  • ④メンバーやリーダーから、病気や生活に役立つ情報や助言を得られること
答えと解説を見る
正解 ①悩んでいるのは自分だけではないと知り、安心や孤立感の軽減につながること
解説
ヤーロムは集団精神療法の治療的な因子として、希望をもたらすこと、普遍性、情報の伝達、愛他主義、家族関係の修正的な繰り返し、社会適応技術の発達、模倣行動、対人学習、凝集性、カタルシス、実存的因子を挙げました。
普遍性は、同じような悩みを持つ人と出会い、「自分だけではない」と分かることで、孤立感が和らぐことです。

他の選択肢が誤りの理由
・回復した姿を見て希望を持つ:「希望をもたらすこと」です。
・ほかのメンバーを助けて自分の価値を感じる:「愛他主義」です。
・情報や助言を得る:「情報の伝達」です。

覚え方のポイント
普遍性=「自分だけじゃない」、希望=「自分も良くなれる」、愛他主義=「人の役に立てる」。自助グループの力の源でもあります。
問91-8

防衛機制の「投影(投射)」の例として、正しいものはどれか。

  • ①自分が相手を嫌っているのに、相手が自分を嫌っていると感じる
  • ②つらい出来事の記憶を、意識に上らないように心の奥に押し込める
  • ③思い通りにならないとき、幼い子どものような振る舞いに戻ってしまう
  • ④憧れている人の話し方や服装をまねて、その人のように振る舞う
答えと解説を見る
正解 ①自分が相手を嫌っているのに、相手が自分を嫌っていると感じる
解説
投影(投射)は、自分の中にある受け入れがたい感情や欲求を、相手のものとして感じとる防衛機制です。「自分が相手を嫌っている」のに、「相手が自分を嫌っている」と感じるのが典型的な例です。

他の選択肢が誤りの理由
・つらい記憶を押し込める:「抑圧」です。防衛機制の基本とされます。
・幼い振る舞いに戻る:「退行」です。
・憧れの人のまねをする:「同一化(同一視)」です。

覚え方のポイント
抑圧=しまい込む、退行=子どもに戻る、投影=相手に映す、同一化=相手と重ねる。
問101-8

日本で生まれた精神療法とその特徴の組合せとして、正しいものの組合せはどれか。
a.内観療法 ― 夢の内容を分析して、無意識の葛藤を明らかにする
b.森田療法 ― 不安をあるがままに受け入れ、なすべき行動に取り組む
c.内観療法 ― 身近な人との関係を、3つの観点から具体的に振り返る
d.森田療法 ― 自由連想によって、幼児期の体験を意識化する

  • ①a・b
  • ②c・d
  • ③a・d
  • ④b・c
答えと解説を見る
正解 ④b・c
解説
b:森田療法は森田正馬が創始し、不安や症状を取り除こうとせず「あるがまま」に受け入れ、目の前のなすべきことに取り組むことを重視します。
c:内観療法は吉本伊信が創始し、身近な人に対して「していただいたこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」を具体的に振り返ります。

他の記述が誤りの理由
a:夢の分析で無意識の葛藤を明らかにするのは、フロイトの精神分析です。
d:自由連想で幼児期の体験を意識化するのも、精神分析の方法です。

覚え方のポイント
日本生まれの2つ:森田(あるがまま)・内観(3つの問い)。夢・自由連想が出てきたら精神分析と判断します。

精神保健福祉士の対策問題(全810問)に戻る

非公式の資格試験対策サイトです。厚生労働省・公益財団法人社会福祉振興・試験センターとは一切関係がなく、これらの機関の公認・認定を受けた教材ではありません。

※本ページでは、アクセス解析(Googleアナリティクス)と、広告の配信・成果の計測(A8.net)のためにCookie等を利用し、閲覧に関する情報をGoogle LLC・株式会社ファンコミュニケーションズへ送信しています。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

※本ページの問題・解説は、生成AI(人工知能)を活用して作成しています。

【PR】