2026年10月版・7-1

社会福祉の原理・思想と歴史の一問一答

精神保健福祉士国家試験「共通:原理と政策・社会保障・権利擁護」から、社会福祉の原理・思想と歴史に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする多肢選択形式で、5つの選択肢から2つを選ぶ問題もあります。ここでは全て4択(正解は1つ)で出題し、2つを選ぶ問題は記述a〜dの組合せを選ぶ形で再現しています。

問17-1

1601年にイギリスで制定されたエリザベス救貧法の特徴として、正しいものはどれか。

  • ①慈善団体による友愛訪問を、国の制度として全国に広げることを定めた
  • ②救済を受ける者の生活水準を、最下層の労働者より低くする劣等処遇を定めた
  • ③国民全体を対象とする社会保険によって、最低生活を保障する仕組みを定めた
  • ④貧民を労働能力の有無などで分類し、労働能力のある者には就労を強制した
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正解 ④貧民を労働能力の有無などで分類し、労働能力のある者には就労を強制した
解説
エリザベス救貧法(1601年)は、教区を単位に救貧税を徴収し、貧民を、労働能力のある貧民、労働能力のない貧民、扶養する者のいない児童に分類して、労働能力のある者には就労を強制し、労働能力のない者には救済を、児童には徒弟奉公を行わせました。
治安の維持と労働力の確保を目的とする性格の強い制度でした。

他の選択肢が誤りの理由
・劣等処遇:1834年の新救貧法の原則です。
・国民全体の社会保険:1942年のベヴァリッジ報告が示した考え方に近いものです。
・友愛訪問を国の制度に:友愛訪問は1869年に設立された慈善組織協会(COS)の民間の活動です。

覚え方のポイント
1601年エリザベス救貧法(分類と就労強制)→1834年新救貧法(劣等処遇・院内救済)→1942年ベヴァリッジ報告(社会保険)。
問27-1

1834年にイギリスで制定された新救貧法の原則として、正しいものはどれか。

  • ①救済は、労働能力のある者に対しても、家での生活を続けながら行わせる
  • ②救済を受ける者の処遇は、平均的な労働者の生活水準と同じでなければならない
  • ③救済を受ける者の処遇は、最下層の自立した労働者より低くなければならない
  • ④救済の内容は、教区ごとに異なる基準で自由に定めることとされた
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正解 ③救済を受ける者の処遇は、最下層の自立した労働者より低くなければならない
解説
新救貧法(1834年)は、救貧費の増大を背景に制定され、次の原則を定めました。
劣等処遇の原則:救済を受ける者の処遇は、最下層の自立した労働者の生活水準より低くなければならない。
院外救済の禁止(ワークハウス・システム):労働能力のある者の救済は、労役場(ワークハウス)への収容に限る。
全国均一処遇の原則:救済の基準を全国で統一する。

他の選択肢が誤りの理由
・平均的な労働者と同じ:劣等処遇の原則とは逆です。
・家での生活を続けながら救済:院外救済は禁止され、労役場への収容が原則とされました。
・教区ごとに自由に:全国均一処遇の原則が定められました。

覚え方のポイント
新救貧法の3原則=「劣等処遇」「院外救済の禁止(ワークハウス)」「全国均一」。
問37-1

1942年のイギリスのベヴァリッジ報告で、社会の進歩を阻む「5つの巨悪」として挙げられたものに含まれるものはどれか。

  • ①差別
  • ②窮乏
  • ③孤立
  • ④犯罪
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正解 ②窮乏
解説
ベヴァリッジ報告(「社会保険および関連サービス」1942年)は、社会の進歩を阻む5つの巨悪として、窮乏(Want)、疾病(Disease)、無知(Ignorance)、不潔(Squalor)、怠惰(Idleness)を挙げました。
このうち窮乏への対策として、均一拠出・均一給付の社会保険を中心に、国民扶助などで補う仕組みを提案し、戦後のイギリスの福祉国家の基礎となりました。

他の選択肢が誤りの理由
・差別、孤立、犯罪:いずれも5つの巨悪には含まれません。

覚え方のポイント
5つの巨悪=「窮乏・疾病・無知・不潔・怠惰」。窮乏には社会保険で対応する、というのが報告の中心です。
問47-1

1874年に制定された日本の恤救規則の特徴として、正しいものはどれか。

  • ①人民相互の情誼による救済を原則とし、頼るべき者のいない者に限って救済した
  • ②国の責任で国民の最低限度の生活を保障することを、法律で初めて明記した
  • ③救済の対象を生活に困窮するすべての国民とし、無差別平等の原則を定めた
  • ④救済を受けることを国民の権利として認め、そのための不服申立ての制度を設けた
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正解 ①人民相互の情誼による救済を原則とし、頼るべき者のいない者に限って救済した
解説
恤救規則(1874年)は、明治政府による最初の全国的な救貧制度です。救済は「人民相互の情誼(家族や近隣の助け合い)」によるべきものとし、それに頼ることができない「無告の窮民」(身寄りのない極貧の高齢者、障害者、病人、児童など)に限って、わずかな米代を支給するものでした。
その後、1929年に救護法が制定され(1932年施行)、公的扶助の義務が明確にされました。

他の選択肢が誤りの理由
・国の責任で最低限度の生活を保障:1950年の(新)生活保護法の考え方です。
・無差別平等の原則:1946年の旧生活保護法で定められました。
・権利として認め不服申立て:1950年の生活保護法で、保護を受ける権利と不服申立ての制度が明確にされました。

覚え方のポイント
恤救規則(1874)=「人民相互の情誼」「無告の窮民」→救護法(1929)→旧生活保護法(1946)→生活保護法(1950)。
問57-1

1869年にロンドンで設立され、友愛訪問員による個別の調査と援助を行い、ケースワークの源流となった組織はどれか。

  • ①慈善組織協会(COS)
  • ②トインビー・ホール
  • ③ハル・ハウス
  • ④救世軍
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正解 ①慈善組織協会(COS)
解説
慈善組織協会(COS:Charity Organization Society)は、1869年にロンドンで設立され、無秩序に行われていた慈善活動を組織化し、友愛訪問員が貧困家庭を個別に訪問して調査し、援助することで、救済の重複や漏れを防ごうとしました。この個別訪問の活動はケースワークの源流とされ、地域の慈善団体の連絡調整はコミュニティ・オーガニゼーションの源流とされます。

他の選択肢が誤りの理由
・トインビー・ホール:1884年にロンドンのイーストエンドに設立された世界初のセツルメントです。
・ハル・ハウス:1889年にアダムス(Addams, J.)がシカゴに設立したセツルメントです。
・救世軍:ブース(Booth, W.)が創設したキリスト教の団体で、救済活動を行いました。

覚え方のポイント
COS(1869)=友愛訪問→ケースワークの源流。セツルメント(トインビー・ホール1884、ハル・ハウス1889)=グループワークやソーシャルアクションの源流。
問67-1

ロールズ(Rawls, J.)が『正義論』で示した考え方として、正しいものはどれか。

  • ①人の福祉は所得の大きさではなく、実際に選び実現できる機能の幅で評価すべきである
  • ②社会全体の幸福の総量が最大になれば、個人の間の分配の不平等は問題にならない
  • ③正当な手続で取得した財産に再分配のために課税することは、個人の権利の侵害になる
  • ④社会的・経済的不平等は、最も不遇な人々の利益を最大にする場合に限り認められる
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正解 ④社会的・経済的不平等は、最も不遇な人々の利益を最大にする場合に限り認められる
解説
ロールズは『正義論』(1971年)で、自分がどのような立場に置かれるか分からない「無知のヴェール」のもとで人々が合意する正義の原理として、(1)基本的な自由の平等、(2)社会的・経済的不平等は、公正な機会の均等のもとで、かつ最も不遇な人々の利益を最大にするように(格差原理)配置されなければならない、という原理を示しました。

他の選択肢が誤りの理由
・選び実現できる機能の幅で評価:セン(Sen, A.)のケイパビリティ(潜在能力)の考え方です。
・幸福の総量が最大なら分配は問わない:功利主義(ベンサムなど)の考え方で、ロールズが批判したものです。
・再分配のための課税は権利の侵害:リバタリアニズム(ノージックなど)の考え方です。

覚え方のポイント
ロールズ=「無知のヴェール」「格差原理(最も不遇な人の利益を最大に)」。セン=「ケイパビリティ(潜在能力)」。
問77-1

1946年に制定された旧生活保護法の説明として、正しいものはどれか。

  • ①人民相互の情誼を原則とし、身寄りのない者に限って米代を支給する制度だった
  • ②無差別平等の原則を定め、保護を受けることを国民の権利とし、不服申立ても認めていた
  • ③無差別平等の原則を定めたが、素行不良な者などを保護の対象から除く欠格条項があった
  • ④保護の実施は民生委員が担い、市町村長は民生委員を補助する機関と位置づけられていた
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正解 ③無差別平等の原則を定めたが、素行不良な者などを保護の対象から除く欠格条項があった
解説
旧生活保護法(1946年)は、GHQの「社会救済に関する覚書」(無差別平等、国家責任、必要充足の3原則)を受けて制定され、無差別平等の原則を定めました。しかし、勤労を怠る者や素行不良な者を保護の対象から除く欠格条項があり、保護を受けることを権利として認める考え方や不服申立ての制度も明確ではありませんでした。
そこで1950年に現行の生活保護法が制定され、憲法第25条の理念に基づく国家責任、保護請求権、不服申立ての制度などが明確にされました。

他の選択肢が誤りの理由
・権利として不服申立ても認めた:1950年の現行の生活保護法の特徴です。
・人民相互の情誼:1874年の恤救規則の特徴です。
・民生委員が実施し市町村長が補助:逆です。旧法では、保護を実施するのは市町村長で、民生委員はその補助機関とされていました。1950年の現行法では、社会福祉主事が補助機関、民生委員は協力機関に改められました。

覚え方のポイント
旧法(1946)=「無差別平等」だが「欠格条項あり・権利性があいまい」。新法(1950)=「憲法25条」「保護請求権」「不服申立て」。
問87-1

1960年代までに日本で整えられた「福祉六法」に含まれる法律として、正しいものはどれか。

  • ①介護保険法
  • ②老人福祉法
  • ③障害者総合支援法
  • ④社会福祉法
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正解 ②老人福祉法
解説
福祉六法は、生活保護法(1950年、旧法は1946年)、児童福祉法(1947年)、身体障害者福祉法(1949年)の福祉三法に、精神薄弱者福祉法(1960年、現在の知的障害者福祉法)、老人福祉法(1963年)、母子福祉法(1964年、現在の母子及び父子並びに寡婦福祉法)を加えたものです。

他の選択肢が誤りの理由
・介護保険法:1997年に制定されました(2000年施行)。
・障害者総合支援法:2005年の障害者自立支援法が2012年に改正・改称されたものです。
・社会福祉法:1951年の社会福祉事業法が2000年に改正・改称されたもので、福祉六法には含まれません。

覚え方のポイント
福祉三法(生活保護・児童・身体障害者)+1960年代の3法(知的障害者・老人・母子)=福祉六法。
問97-1

セン(Sen, A.)が示した「ケイパビリティ(潜在能力)」の考え方として、正しいものはどれか。

  • ①人の生活の豊かさを、所得や財の量だけによって客観的に測ることを重視する
  • ②人が価値あると考える生き方を実際に選び、実現できる自由の幅に注目する
  • ③社会全体の効用の合計が最大になることを、政策の最も重要な基準とする
  • ④人の能力は生まれつき決まっており、社会の条件では変わらないと考える
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正解 ②人が価値あると考える生き方を実際に選び、実現できる自由の幅に注目する
解説
センは、人の福祉(よい生活)を、所得や財の量ではなく、その人が価値あると考える「機能」(健康である、教育を受ける、社会に参加するなど)を実際に選び、実現できる自由の幅(ケイパビリティ)でとらえるべきだと論じました。
同じ所得でも、障害や病気、社会の条件によって実現できることは異なるため、その違いに目を向けることを重視します。この考え方は、国連開発計画(UNDP)の人間開発指数にも影響を与えました。

他の選択肢が誤りの理由
・所得や財の量だけで測る:センはそれを批判しました。
・効用の合計の最大化:功利主義の考え方です。
・能力は生まれつきで変わらない:ケイパビリティは社会の条件によって広がったり狭まったりすると考えます。

覚え方のポイント
セン=「ケイパビリティ」=「何ができ、どう生きられるか」の自由。
問107-1

社会福祉の歴史について、正しいものの組合せはどれか。
a.新救貧法は、劣等処遇の原則を定めた。
b.ベヴァリッジ報告は、社会保険を否定し、民間の慈善を中心とすることを提案した。
c.旧生活保護法は、不服申立ての制度を明確に定めていた。
d.恤救規則は、人民相互の情誼を救済の原則とした。

  • ①a・d
  • ②b・c
  • ③a・b
  • ④c・d
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正解 ①a・d
解説
a:1834年の新救貧法は、劣等処遇の原則、院外救済の禁止、全国均一処遇を定めました。
d:1874年の恤救規則は、救済は人民相互の情誼によることを原則とし、頼る者のいない者に限って救済しました。

他の記述が誤りの理由
b:ベヴァリッジ報告は、社会保険を中心に国民扶助などで補う仕組みを提案しました。
c:旧生活保護法(1946年)では、保護を受ける権利や不服申立ての制度は明確ではなく、1950年の現行法で明確にされました。

覚え方のポイント
歴史は「年代+キーワード」で。新救貧法=劣等処遇、ベヴァリッジ=社会保険と5つの巨悪、恤救規則=情誼、旧法=欠格条項。

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