2026年10月版・7-3

福祉政策の課題:貧困・格差・社会的排除の一問一答

精神保健福祉士国家試験「共通:原理と政策・社会保障・権利擁護」から、福祉政策の課題:貧困・格差・社会的排除に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする多肢選択形式で、5つの選択肢から2つを選ぶ問題もあります。ここでは全て4択(正解は1つ)で出題し、2つを選ぶ問題は記述a〜dの組合せを選ぶ形で再現しています。

問17-3

19世紀末にイギリスのヨーク市で貧困調査を行い、人の一生の中で貧困に陥りやすい時期が繰り返し訪れるという「貧困のライフサイクル」を示した人物はどれか。

  • ①ブース(Booth, C.)
  • ②タウンゼント(Townsend, P.)
  • ③ラウントリー(Rowntree, B.)
  • ④ベヴァリッジ(Beveridge, W.)
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正解 ③ラウントリー(Rowntree, B.)
解説
ラウントリーは1899年にヨーク市で貧困調査を行い、その結果を1901年に発表しました。
労働者の一生では、子ども時代・子育て期・高齢期に貧困に陥りやすく、それが繰り返されることを「貧困のライフサイクル」として示しました。また、収入が肉体を維持する最低限の必要にも届かない状態を「第一次貧困」、収入はそれに足りるが他の支出に回って貧困状態になっている状態を「第二次貧困」と区別しました。

他の選択肢が誤りの理由
・ブース:19世紀末にロンドンで大規模な貧困調査を行い、貧困の広がりと、その原因が個人の怠惰よりも雇用や賃金などの問題であることを示した人物です。
・タウンゼント:その社会で一般的な生活様式から締め出された状態を貧困ととらえる「相対的剥奪」の考え方を示した人物です。
・ベヴァリッジ:1942年の報告で、社会保険を中心とした社会保障の計画を示した人物です。

覚え方のポイント
ロンドン=ブース、ヨーク=ラウントリー(ライフサイクル・第一次貧困)、相対的剥奪=タウンゼント。
問27-3

厚生労働省の国民生活基礎調査などで用いられる「相対的貧困率」の説明として、正しいものはどれか。

  • ①等価可処分所得の平均値の半分に満たない世帯員の割合
  • ②等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯員の割合
  • ③生活保護の基準額に満たない所得で暮らす世帯の割合
  • ④等価可処分所得の中央値の6割に満たない世帯の割合
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正解 ②等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯員の割合
解説
相対的貧困率は、OECD(経済協力開発機構)の基準に沿って計算されます。
世帯の可処分所得(手取り収入)を世帯人数の平方根で割って調整した「等価可処分所得」を出し、その中央値の半分を「貧困線」とします。貧困線に満たない世帯で暮らす人(世帯員)の割合が、相対的貧困率です。

他の選択肢が誤りの理由
・平均値の半分:基準は平均値ではなく中央値です。平均値は一部の高所得者に引っ張られて高くなるためです。
・生活保護の基準額に満たない世帯の割合:生活保護の基準とは別の、所得の分布をもとにした指標です。
・中央値の6割に満たない世帯の割合:中央値の60%はEU(欧州連合)が主に使う基準で、国民生活基礎調査の相対的貧困率は中央値の50%です。また、割合は世帯ではなく世帯員(人)で数えます。

覚え方のポイント
相対的貧困率=「手取りを世帯人数で調整」「中央値の半分」「人の割合」。
問37-3

所得の分配の不平等さを表すジニ係数について、正しいものはどれか。

  • ①0から1までの値をとり、0に近いほど所得の分配が不平等であることを表す
  • ②0から1までの値をとり、1に近いほど所得の分配が不平等であることを表す
  • ③−1から1までの値をとり、0のときに最も所得の分配が不平等であることを表す
  • ④0から100までの値をとり、50のときに所得の分配が完全に平等であることを表す
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正解 ②0から1までの値をとり、1に近いほど所得の分配が不平等であることを表す
解説
ジニ係数は、所得の分配がどれだけ偏っているかを表す指標で、0から1までの値をとります。
全員の所得がまったく同じ(完全に平等)なら0、1人がすべての所得を得ている(完全に不平等)なら1になります。税や社会保障による再分配の前と後のジニ係数を比べることで、再分配の効果を確かめることができます。

他の選択肢が誤りの理由
・0に近いほど不平等:逆で、0に近いほど平等です。
・−1から1までの値:負の値はとりません(−1から1の値をとるのは相関係数です)。
・0から100までの値で50が完全平等:100倍して表すことはありますが、完全な平等は0です。

覚え方のポイント
ジニ係数は「1に近いほど格差が大きい」。ローレンツ曲線と完全平等線の間の面積から求めます。
問47-3

「社会的排除」の考え方として、正しいものはどれか。

  • ①所得の不足に加え、雇用・住宅・教育・人間関係などから締め出される過程に注目する
  • ②本人の努力の不足に原因があるとみて、就労の義務を課すことで解決を図ろうとする
  • ③所得の不足だけをとらえる考え方で、生活に必要な金額を下回る状態を数値で示している
  • ④1990年代のアメリカで生まれ、都市の貧困層の居住地が分離される問題を主に扱う
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正解 ①所得の不足に加え、雇用・住宅・教育・人間関係などから締め出される過程に注目する
解説
社会的排除は、1970年代のフランスで使われ始め、その後EU(欧州連合)の政策で広く用いられるようになった考え方です。
お金が足りないことだけでなく、仕事・住まい・教育・医療・人間関係・政治への参加など、社会のさまざまな場から締め出されていく「過程」と、それが重なり合う「多面性」に注目します。これに対して、社会の一員として包み込む政策の考え方が「社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)」です。

他の選択肢が誤りの理由
・所得の不足だけをとらえる:所得だけで貧困をとらえる考え方(絶対的貧困・所得による貧困線など)で、社会的排除はそれより広い範囲を見ます。
・本人の努力の不足に原因があるとみる:社会的排除は、個人の責任よりも社会の仕組みの側に原因を見る考え方です。
・1990年代のアメリカで生まれ、居住地の分離を主に扱う:社会的排除は1970年代のフランスで使われ始め、EUの政策で広まった考え方です。居住地の問題だけでなく、仕事・住まい・教育・人間関係など、多くの面からの締め出しを問題にします。

覚え方のポイント
排除(エクスクルージョン)⇔包摂(インクルージョン)。キーワードは「フランス・EU」「多面的」「過程」「参加」。
問57-3

就労しているかどうかや所得の多さにかかわらず、すべての個人に無条件で一定額の現金を定期的に給付するという構想を何というか。

  • ①負の所得税
  • ②ワークフェア
  • ③給付付き税額控除
  • ④ベーシックインカム
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正解 ④ベーシックインカム
解説
ベーシックインカムは、資力調査(ミーンズテスト)や就労などの条件をつけずに、すべての個人に一定額の現金を給付するという構想です。
手続きが簡単で、給付を受けることへの心理的な抵抗(スティグマ)が生じにくいとされる一方、大きな財源が必要になるなどの課題が指摘されています。

他の選択肢が誤りの理由
・負の所得税:所得が一定の水準を下回る人に、その差額の一部を税の仕組みを通じて給付する構想で、所得による条件があります。フリードマンが提唱しました。
・ワークフェア:就労や職業訓練への参加を、福祉給付を受ける条件とする考え方です。
・給付付き税額控除:税額から一定額を差し引き、控除しきれない分を現金で給付する仕組みで、働いて所得があることを条件とするものが多くあります。

覚え方のポイント
無条件で全員に=ベーシックインカム、所得が低い人に税の仕組みで=負の所得税、働くことが条件=ワークフェア。
問67-3

三浦文夫が示したニードの分類で、社会の変化に伴って比重が高まり、金銭の給付ではなく介護や相談などの対人サービスによって満たされるニードを何というか。

  • ①貨幣的ニード
  • ②規範的ニード
  • ③非貨幣的ニード
  • ④表明されたニード
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正解 ③非貨幣的ニード
解説
三浦文夫は、ニードを「貨幣的ニード」と「非貨幣的ニード」に分けました。
経済が成長し生活水準が上がると、お金を給付すれば満たせるニード(貨幣的ニード)よりも、介護・保育・相談など、人によるサービスでなければ満たせないニード(非貨幣的ニード)の比重が高まると指摘しました。

他の選択肢が誤りの理由
・貨幣的ニード:金銭の給付によって満たすことのできるニードです。
・規範的ニード:ブラッドショーの分類で、専門家や行政が一定の基準に照らして必要と判断するニードです。
・表明されたニード:ブラッドショーの分類で、本人が実際にサービスを申し込むなど、行動に表したニードです。

覚え方のポイント
三浦文夫=貨幣的/非貨幣的、ブラッドショー=規範的・感得された・表明された・比較ニード。
問77-3

マーシャル(Marshall, T.)がシティズンシップ(市民権)について論じた内容として、正しいものはどれか。

  • ①政治的権利・市民的権利・社会的権利の順に発展し、政治的権利は18世紀に確立された
  • ②社会的権利・政治的権利・市民的権利の順に発展し、市民的権利は20世紀に確立された
  • ③市民的権利・政治的権利・社会的権利の順に発展し、社会的権利は20世紀に確立された
  • ④市民的権利・社会的権利・政治的権利の順に発展し、政治的権利は20世紀に確立された
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正解 ③市民的権利・政治的権利・社会的権利の順に発展し、社会的権利は20世紀に確立された
解説
マーシャルは、イギリスの歴史をもとに、シティズンシップが3つの要素からなり、順に発展してきたと論じました。
18世紀に、言論・思想の自由や財産を持つ権利などの「市民的権利」、19世紀に、選挙権などの「政治的権利」、20世紀に、教育や社会保障などによって一定の生活水準を保障される「社会的権利」が確立されたとしています。

他の選択肢が誤りの理由
・社会的権利から始まる、政治的権利から始まる:発展の順序は「市民的→政治的→社会的」です。
・社会的権利の次に政治的権利:社会的権利は3つのうち最後に確立されたもので、福祉国家の土台となる権利です。

覚え方のポイント
18世紀=市民的(自由)、19世紀=政治的(選挙)、20世紀=社会的(福祉)。「し・せ・しゃ」の順と覚えましょう。
問87-3

福祉政策の給付の方法として、現金給付と現物給付の特徴の説明として、正しいものはどれか。

  • ①現金給付は、受け取った人が何に使うかを自分で選べず、使い道が給付の目的に限られる
  • ②現物給付は、サービスなどを直接提供するため、給付の目的どおりに使われることを確保しやすい
  • ③現物給付は、受け取った人が使い道を自由に選べるので、本人の選択の幅が最も広い方法といえる
  • ④現金給付は、介護や相談など、人による対人サービスのニードを満たすのに最も向いている
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正解 ②現物給付は、サービスなどを直接提供するため、給付の目的どおりに使われることを確保しやすい
解説
現物給付は、医療・介護・保育などのサービスや物そのものを直接提供する方法です。必要なものを直接届けるため、給付の目的どおりに使われることを確保しやすいという特徴があります。
一方、現金給付は、受け取った人が自分の判断で使い道を選べるため、選択の自由が大きいという特徴があります。

他の選択肢が誤りの理由
・現金給付は使い道を選べない:逆で、現金給付は使い道を受け取った人が選べます。
・現物給付は使い道を自由に選べる:現物給付は提供される内容が決まっているため、選択の幅は現金給付より狭くなります。
・現金給付は対人サービスのニードに最も向いている:介護や相談などのニードは、サービスを直接提供する現物給付で満たすことが多くなります(非貨幣的ニード)。

覚え方のポイント
現金=選択の自由が大きい、現物=目的どおりに使われやすい。医療保険の「療養の給付」は現物給付、障害年金は現金給付です。
問97-3

所得の再分配のうち、同じ所得階層の中で、健康な人から病気の人へ、働いている人から失業した人へといった形で行われるものを何というか。

  • ①水平的再分配
  • ②世代間再分配
  • ③垂直的再分配
  • ④市場的再分配
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正解 ①水平的再分配
解説
水平的再分配は、所得の多さが同じくらいの人々の間で、リスクに直面していない人から直面した人へと行われる再分配です。
医療保険(健康な人→病気の人)、雇用保険(働いている人→失業した人)など、社会保険の多くはこの働きを持っています。

他の選択肢が誤りの理由
・垂直的再分配:高所得者から低所得者へ行われる再分配で、累進課税や生活保護などが代表例です。
・世代間再分配:現役世代から高齢世代へというように、世代をまたいで行われる再分配で、賦課方式の公的年金が代表例です。
・市場的再分配:再分配は市場での分配(給料など)を政府が税や社会保障で修正するものであり、再分配の種類としてこの言い方はしません。

覚え方のポイント
垂直=縦(所得の高い人→低い人)、水平=横(同じ所得の中で、困っていない人→困った人)。
問107-3

貧困・格差と福祉政策について、正しいものの組合せはどれか。
a.ラウントリーは、ヨーク市の調査で貧困のライフサイクルを示した。
b.相対的貧困率の貧困線は、等価可処分所得の平均値の半分である。
c.ジニ係数は、0に近いほど所得の分配が不平等であることを表す。
d.マーシャルは、社会的権利が20世紀に確立されたとした。

  • ①a・b
  • ②b・c
  • ③c・d
  • ④a・d
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正解 ④a・d
解説
正しいのは a と d です。
a:ラウントリーはヨーク市の調査で、子ども時代・子育て期・高齢期に貧困に陥りやすい「貧困のライフサイクル」を示しました。
d:マーシャルは、市民的権利(18世紀)・政治的権利(19世紀)・社会的権利(20世紀)の順にシティズンシップが発展したとしました。

他の記述が誤りの理由
・b:貧困線は、等価可処分所得の中央値の半分です。
・c:ジニ係数は1に近いほど不平等で、0は完全な平等です。

覚え方のポイント
「中央値の半分」「1に近いほど不平等」は、数字の向きを逆にしたひっかけがよく出ます。

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※本ページの問題・解説は、生成AI(人工知能)を活用して作成しています。

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