2026年10月版・8-3

包括的支援体制と地域共生社会の一問一答

精神保健福祉士国家試験「共通:地域福祉・障害者福祉・刑事司法」から、包括的支援体制と地域共生社会に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする多肢選択形式で、5つの選択肢から2つを選ぶ問題もあります。ここでは全て4択(正解は1つ)で出題し、2つを選ぶ問題は記述a〜dの組合せを選ぶ形で再現しています。

問18-3

厚生労働省が示す「地域共生社会」の考え方として、正しいものはどれか。

  • ①制度・分野ごとの縦割りや支え手・受け手の関係を超え、住民や多様な主体が地域をともに創る社会
  • ②制度・分野ごとの縦割りを維持しつつ、支え手と受け手の役割を明確にして地域を支えていく社会
  • ③制度・分野ごとの縦割りを超えるため、福祉の各制度を一つの総合的な給付制度に統合していく社会
  • ④支え手・受け手の関係を超えるため、公的な福祉サービスを住民の支え合いの活動に置き換えていく社会
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正解 ①制度・分野ごとの縦割りや支え手・受け手の関係を超え、住民や多様な主体が地域をともに創る社会
解説
地域共生社会は、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会とされています。
その実現に向けて、社会福祉法の改正により、市町村の包括的な支援体制の整備や、重層的支援体制整備事業などが位置づけられました。

他の選択肢が誤りの理由
・縦割りを維持し役割を明確に:縦割りや支え手・受け手の関係を超えることが地域共生社会の考え方です。
・各制度を一つの給付制度に統合:制度を統合することではなく、分野を超えて人や資源がつながり、包括的に支援する体制をつくることが目指されています。
・公的サービスを住民の活動に置き換える:住民の活動と公的な支援が連携して支えることが目指されており、公的な支援を住民の活動で置き換えるものではありません。

覚え方のポイント
地域共生社会=「縦割りを超える」「支え手・受け手を超える」「ともに創る」。
問28-3

A市は、高齢の親とひきこもりの子の世帯など、複合的な課題を抱える世帯への支援を強めるため、重層的支援体制整備事業の実施を検討している。社会福祉法に基づく重層的支援体制整備事業の内容として、正しいものはどれか。

  • ①属性を問わない相談支援と生活費の給付を一体的に行い、市町村の実施を義務とする
  • ②属性を問わない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援などを都道府県が実施する
  • ③高齢者・障害者・子どもの分野ごとに窓口を分け、それぞれ別々に相談支援を実施する
  • ④属性を問わない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援などを一体的に実施する
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正解 ④属性を問わない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援などを一体的に実施する
解説
重層的支援体制整備事業は、2020年の社会福祉法改正で創設され、2021年4月から始まった事業で、市町村が任意で実施します(第106条の4)。
介護、障害、子ども、生活困窮の分野の既存の相談支援などを一体的に実施し、(1)属性を問わない相談支援、(2)参加支援(社会とのつながりづくり)、(3)地域づくりに向けた支援を柱に、(4)アウトリーチ等を通じた継続的支援、(5)多機関協働を組み合わせて、複雑化・複合化した課題を抱える人や世帯を包括的に支えます。

他の選択肢が誤りの理由
・都道府県が実施:実施主体は市町村です。
・分野ごとに窓口を分けて別々に:分野を超えて一体的に実施することが特徴です。
・生活費の給付・市町村の義務:現金給付の事業ではなく、市町村が任意で実施する事業です。

覚え方のポイント
重層的支援体制整備事業=「相談支援(属性を問わない)」「参加支援」「地域づくり」+「アウトリーチ」「多機関協働」。
問38-3

社会福祉法に定める「地域生活課題」の内容として、正しいものはどれか。

  • ①福祉と介護に関する課題に限られ、住まいや就労、教育に関する課題は含まれない
  • ②福祉、介護、保健医療など、支援を必要とする本人一人が抱える課題に限ったもの
  • ③福祉、介護、保健医療、住まい、就労、教育など、地域住民とその世帯が抱える課題
  • ④地域住民とその世帯が抱える課題のうち、行政の制度で対応できるものに限ったもの
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正解 ③福祉、介護、保健医療、住まい、就労、教育など、地域住民とその世帯が抱える課題
解説
社会福祉法第4条第3項は、地域住民等は、地域福祉の推進に当たっては、福祉サービスを必要とする地域住民及びその世帯が抱える福祉、介護、介護予防、保健医療、住まい、就労及び教育に関する課題、地域社会からの孤立、日常生活を営み、あらゆる分野の活動に参加する機会が確保される上での各般の課題(地域生活課題)を把握し、支援関係機関との連携等によりその解決を図るよう特に留意するものとしています。

他の選択肢が誤りの理由
・本人一人の課題に限る:地域住民とその世帯が抱える課題をとらえます。
・福祉と介護に限る:保健医療、住まい、就労、教育、地域社会からの孤立なども含まれます。
・制度で対応できるものに限る:制度の狭間にある課題も含めて把握することが求められます。

覚え方のポイント
地域生活課題=「福祉・介護・保健医療・住まい・就労・教育」+「孤立」+「参加の機会」。世帯単位でとらえるのがポイントです。
問48-3

2024年4月に施行された孤独・孤立対策推進法の内容として、正しいものはどれか。

  • ①国に孤独・孤立対策推進本部を置き、地方公共団体は地域協議会の設置を義務付けられる
  • ②国に孤独・孤立対策推進本部を置き、地方公共団体は官民の連携の場の設置に努めるもの
  • ③孤独・孤立は個人の問題であるとして、国や地方公共団体の責務は定めていないとされる
  • ④厚生労働省に推進本部を置き、地方公共団体には特別の役割を定めていないとされている
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正解 ②国に孤独・孤立対策推進本部を置き、地方公共団体は官民の連携の場の設置に努めるもの
解説
孤独・孤立対策推進法(2023年成立、2024年4月施行)は、孤独・孤立は人生のあらゆる場面で誰にでも生じうるものであり、社会全体の課題であるとの認識に立ち、国と地方公共団体の責務、孤独・孤立対策重点計画の策定、内閣府に置かれる孤独・孤立対策推進本部などを定めています。
地方公共団体は、関係機関や民間団体などで構成される孤独・孤立対策地域協議会を置くよう努めるものとされています。

他の選択肢が誤りの理由
・地域協議会の設置が義務:設置は努力義務です。
・個人の問題として責務を定めない:社会全体の課題として、国と地方公共団体の責務を定めています。
・厚生労働省に推進本部:推進本部は内閣府に置かれ、地方公共団体の責務も定められています。

覚え方のポイント
孤独・孤立対策推進法=「誰にでも起こりうる社会全体の課題」「推進本部(内閣府)」「重点計画」「地域協議会(努力義務)」。
問58-3

地域包括支援センターのB精神保健福祉士は、認知症のAさん(80歳)の支援について、地域ケア会議に事例を提出することにした。介護保険法に基づく地域ケア会議の機能として、正しいものはどれか。

  • ①要介護認定の審査判定を行い、要介護度を最終的に決定することを主な機能とする
  • ②個別の事例の検討を通じて、地域の課題の発見や地域づくり・資源開発につなげる
  • ③介護保険料の額を決定し、被保険者から徴収することを主な機能とする
  • ④介護サービスの事業者の指定と、その取消しを行うことを主な機能とする
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正解 ②個別の事例の検討を通じて、地域の課題の発見や地域づくり・資源開発につなげる
解説
地域ケア会議は、介護保険法第115条の48に基づき、市町村が置くよう努める会議で、地域包括支援センターなどが運営します。個別の事例の検討を通じて、高齢者の自立を支える支援のあり方を検討するとともに、(1)個別課題の解決、(2)地域包括支援ネットワークの構築、(3)地域課題の発見、(4)地域づくり・資源開発、(5)政策の形成の5つの機能を持つとされています。

他の選択肢が誤りの理由
・要介護認定の審査判定:介護認定審査会の役割です。
・保険料の決定と徴収:保険者である市町村の事務です。
・事業者の指定と取消し:都道府県知事や市町村長の権限です。

覚え方のポイント
地域ケア会議の5つの機能=「個別課題の解決」「ネットワーク」「地域課題の発見」「地域づくり・資源開発」「政策形成」。
問68-3

社会福祉法に基づき、市町村が整備に努めることとされている「包括的な支援体制」の考え方として、正しいものはどれか。

  • ①地域生活課題に関する相談を包括的に受け止め、関係機関が連携して支援する体制
  • ②地域生活課題の相談を受ける総合窓口を、都道府県が一か所に設けて対応する体制
  • ③地域生活課題に関する相談は、高齢・障害・子どもの分野ごとの窓口で受けて対応する体制
  • ④地域生活課題の解決のため、市町村が新たな現金給付を設けて世帯の生活を支える体制
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正解 ①地域生活課題に関する相談を包括的に受け止め、関係機関が連携して支援する体制
解説
社会福祉法第106条の3は、市町村は、地域住民等が地域福祉を推進するための環境の整備、地域生活課題に関する相談を包括的に受け止める体制の整備、支援関係機関が連携して地域生活課題を解決するための体制の整備などを通じて、包括的な支援体制を整備するよう努めるものとしています。
重層的支援体制整備事業は、この包括的な支援体制を整備するための事業として位置づけられています。

他の選択肢が誤りの理由
・都道府県が総合窓口を一か所に:包括的な支援体制は、市町村が、住民に身近な圏域で相談を受け止める体制などを整備するものです。
・分野ごとの窓口で受ける:分野を問わず相談を包括的に受け止め、支援関係機関が連携して解決する体制が求められます。
・新たな現金給付:相談の受け止めと関係機関の連携、地域づくりの体制を整備するもので、現金給付の制度を設けるものではありません。

覚え方のポイント
包括的な支援体制=「丸ごと受け止める」「つなぐ」「地域で支える」。
問78-3

重層的支援体制整備事業の「参加支援」の説明として、正しいものはどれか。

  • ①住民同士の交流の場や居場所を地域に広く整備し、世代を超えた地域のつながりを育てること
  • ②複数の支援関係機関が協働し、支援の役割分担や方向性を調整するための会議を開くこと
  • ③支援が届いていない人を把握し、訪問などにより継続的に関係をつくりながら支援すること
  • ④本人のニーズに合った就労や居場所などの社会資源と結びつけ、社会とのつながりを回復する
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正解 ④本人のニーズに合った就労や居場所などの社会資源と結びつけ、社会とのつながりを回復する
解説
重層的支援体制整備事業の参加支援は、既存の制度では対応しにくい、社会とのつながりが弱い人などに対し、本人のニーズや状態に合わせて、就労、学び、居場所、ボランティア活動などの社会資源とのマッチングやメニューづくりを行い、社会とのつながりを回復する支援です。

他の選択肢が誤りの理由
・複数の機関が協働し調整:多機関協働事業の説明です。
・支援が届いていない人を訪問:アウトリーチ等を通じた継続的支援事業の説明です。
・住民同士の交流の場や居場所づくり:地域づくりに向けた支援の説明です。

覚え方のポイント
参加支援=「本人と社会資源の個別のマッチング」、地域づくり=「場やつながりを地域に広くつくる」。
問88-3

Aさん(50代、男性)は精神疾患で働けなくなり、80代の母親と二人で暮らしている。母親は認知症が進み、家計も苦しくなってきた。市の福祉総合相談窓口に近所の人から連絡があった。担当者の対応として、最も適切なものはどれか。

  • ①まず母親の介護の問題を地域包括支援センターに引き継ぎ、Aさん本人の相談は落ち着いてから受ける
  • ②Aさんの精神疾患の治療を優先し、主治医に連絡して入院を勧めるよう依頼することにする
  • ③世帯全体の状況を把握したうえで、障害、介護、生活困窮などの関係機関と連携して支援を検討する
  • ④近所の人からの連絡であるため、まずは本人が窓口に来るよう近所の人を通じて伝えてもらう
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正解 ③世帯全体の状況を把握したうえで、障害、介護、生活困窮などの関係機関と連携して支援を検討する
解説
この世帯は、Aさんの精神疾患と就労困難、母親の認知症と介護、家計の困窮という、複数の課題が重なった状態にあります(いわゆる8050問題に近い状況)。
担当者は、世帯全体の状況を把握し、障害福祉(相談支援事業所など)、介護(地域包括支援センターなど)、生活困窮(自立相談支援機関など)の関係機関と連携して支援を検討します。重層的支援体制整備事業を実施している市町村では、多機関協働の仕組みも活用できます。

他の選択肢が誤りの理由
・母親の介護を先に引き継ぎAさんは後回し:課題を分野ごとに切り分けて順番に対応すると、重なり合った世帯全体の課題が解決されません。
・主治医に入院を勧めるよう依頼:本人の意向や世帯の状況を把握しないまま、入院を前提に動くのは適切ではありません。
・本人が窓口に来るよう伝えてもらう:近所の人からの連絡も大切な支援の入口で、必要に応じてアウトリーチを行います。

覚え方のポイント
複合課題の世帯=「世帯全体を見る」「分野を超えて連携」「待たずに出向く」。
問98-3

地域で暮らす人の「孤独・孤立」について、正しいものはどれか。

  • ①孤独・孤立は主に高齢者に起こる問題で、本人が声を上げにくいことに配慮した取組が求められる
  • ②孤独・孤立は誰にでも起こりうるが、本人から支援を求めてくるまで周囲は見守ることが原則である
  • ③孤独・孤立は誰にでも起こりうるもので、本人が支援を求める声を上げにくいことにも配慮する
  • ④孤独・孤立は本人の性格や生き方の問題であるため、周囲や社会による取組は必要ないとされる
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正解 ③孤独・孤立は誰にでも起こりうるもので、本人が支援を求める声を上げにくいことにも配慮する
解説
孤独・孤立は、人生のあらゆる場面で誰にでも起こりうるものとされ、高齢者だけでなく、若者や働く世代、子育て中の人などにもみられます。孤独・孤立の状態にある人は、自ら支援を求める声を上げにくいことも多いため、つながりを持ち続けられる地域の仕組みや、支援する側から手を差し伸べる取組が大切とされています。
孤独・孤立は、心身の健康や自殺の危険とも関係するため、精神保健福祉の分野でも重要な課題です。

他の選択肢が誤りの理由
・本人から求めてくるまで見守る:声を上げにくいため、支援する側から手を差し伸べることが大切とされています。
・主に高齢者:若者や働く世代、子育て中の人などにもみられます。
・本人の性格や生き方の問題:社会全体の課題とされています。

覚え方のポイント
孤独・孤立=「誰にでも」「声を上げにくい」「社会全体の課題」。
問108-3

包括的支援体制と地域共生社会について、正しいものの組合せはどれか。
a.重層的支援体制整備事業は、市町村が任意で実施する事業である。
b.地域ケア会議は、要介護認定の審査判定を行う会議である。
c.重層的支援体制整備事業には、参加支援が含まれる。
d.孤独・孤立対策推進法は、孤独・孤立を個人の問題として、国の責務を定めていない。

  • ①b・d
  • ②a・c
  • ③a・b
  • ④c・d
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正解 ②a・c
解説
a:重層的支援体制整備事業は、市町村が任意で実施する事業です(社会福祉法第106条の4)。
c:重層的支援体制整備事業は、属性を問わない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援などを一体的に実施します。

他の記述が誤りの理由
b:要介護認定の審査判定を行うのは介護認定審査会です。地域ケア会議は、個別事例の検討を通じて地域課題の発見や地域づくりなどにつなげる会議です。
d:孤独・孤立対策推進法は、孤独・孤立を社会全体の課題とし、国と地方公共団体の責務を定めています。

覚え方のポイント
重層的支援=市町村の任意事業(相談・参加・地域づくり)、地域ケア会議=5つの機能、孤独・孤立=社会全体の課題。

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