Aさん(73歳、男性、要介護2)は、脳梗塞で入院し、右片麻痺と運動性失語が残った。言われたことはおおむね理解できるが、自分の考えを言葉にすることが難しく、話そうとしても言葉が出ずに黙り込んでしまうことが多い。退院後、妻と二人で暮らし、訪問介護を利用している。訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんとコミュニケーションをとるときの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ①言葉が出るまで待たず、介護職が代わりに文章を言い切る。
- ②五十音表を指さしてもらい、長い文章を作って伝えてもらう。
- ③はいかいいえで答えられる形で、一つずつ問いかけていく。
- ④言葉の練習になるよう、難しい言葉を繰り返し言ってもらう。
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運動性失語(ブローカ失語)は、脳の言葉を話す働きを担う部分が損傷されて起こり、相手の言うことはおおむね理解できるのに、言葉がなかなか出てこない、話し方がたどたどしくなるといった特徴があります。
Aさんには、「はい」か「いいえ」で答えられる閉じられた質問で、一つずつ問いかけると、首を振ったりうなずいたりして意思を伝えやすくなります。言葉が出ないもどかしさに配慮し、ゆっくり待つ姿勢で関わることが大切です。
他の選択肢が不適切な理由
「言葉が出るまで待たず、介護職が代わりに文章を言い切る。」は、本人が伝えたいことと違う内容になるおそれがあり、話そうとする意欲や自尊心を損なうため不適切です。
「五十音表を指さしてもらい、長い文章を作って伝えてもらう。」は、失語症では文字を使って文章を組み立てることも難しくなることが多く、長い文章を作るのは大きな負担になるため不適切です。五十音表は、構音障害など言葉を組み立てる力が保たれている人に向いた方法です。
「言葉の練習になるよう、難しい言葉を繰り返し言ってもらう。」は、うまく言えない経験を重ねさせて本人を追い詰めることになるため不適切です。言語の訓練は、言語聴覚士の評価に基づいて行います。
試験の罠
運動性失語は「理解できるが話せない」ので閉じられた質問が有効、感覚性失語は「話せるが理解が難しい」ので身振りや絵などで伝える工夫が有効です。五十音表は失語症ではなく構音障害向けという区別も頻出です。