2026年版・2-12

権利擁護:成年後見制度の一問一答

社会福祉士国家試験「原理と政策・社会保障・権利擁護」から、権利擁護:成年後見制度に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする形式ですが、ここでは4択で出題しています。

問12-12

法定後見制度の3つの類型に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①後見は、事理を弁識する能力を欠く常況にある者を対象としている。
  • ②保佐は、事理を弁識する能力が著しく不十分な者を対象としている。
  • ③保佐開始の審判を本人以外が請求するときは、本人の同意が必要である。
  • ④補助は、事理を弁識する能力が不十分な者を対象として設けられた制度である。
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正解 ③保佐開始の審判を本人以外が請求するときは、本人の同意が必要である。
解説
本人以外の者の請求によって開始の審判をするときに本人の同意が必要とされているのは、補助だけです(民法第15条第2項)。補助の対象は判断能力が「不十分」な人で、3類型の中で最も判断能力が保たれているため、本人の自己決定を最大限尊重する仕組みになっています。保佐開始の審判には本人の同意は要件とされていません。ただし、保佐人に代理権を与える審判は、本人以外の請求であれば本人の同意が必要です(同法第876条の4第2項)。一方、保佐人の同意を要する行為を法定の行為以外に広げる審判(同法第13条第2項)には、本人の同意は要件とされていません。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。以下は正しい記述です。
・後見は事理を弁識する能力を欠く常況:民法第7条の規定です。判断能力がほとんどない状態が続いている人が対象です。
・保佐は事理を弁識する能力が著しく不十分:民法第11条の規定です。日常の買い物はできても、重要な財産行為は難しい人が対象です。
・補助は事理を弁識する能力が不十分:民法第15条第1項の規定です。重要な財産行為も一人でできるかもしれないが、不安がある人が対象です。

覚え方のポイント
判断能力は「欠く常況(後見)>著しく不十分(保佐)>不十分(補助)」の順に重い、と言葉の強さで並べます。「本人の同意が開始の要件になるのは補助だけ」「保佐・補助の代理権付与は本人の同意が必要」をセットで押さえましょう。なお、2026年6月に公布された民法等の一部を改正する法律により、後見・保佐は補助に一元化されることになっています(公布から2年6か月以内に施行予定。2026年9月現在は未施行のため、現行の3類型で解答します)。
問22-12

後見開始の審判の申立てに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①市町村長は、65歳以上の者の福祉のため特に必要なとき、審判を請求できる。
  • ②後見開始の審判を請求できるのは、本人の配偶者とその子どもに限られている。
  • ③検察官は、公益を代表する立場にあっても、後見開始の審判を請求できない。
  • ④四親等内の親族でも、本人と同居していなければ審判を請求できない。
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正解 ①市町村長は、65歳以上の者の福祉のため特に必要なとき、審判を請求できる。
解説
市町村長は、65歳以上の者について、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、後見開始などの審判を請求することができます(老人福祉法第32条)。身寄りがない、親族が申立てを拒んでいる、親族から虐待を受けているなど、本人のために申し立てる人がいない場合でも、成年後見制度を利用できるようにするための規定です。知的障害者福祉法や精神保健及び精神障害者福祉に関する法律にも同様の規定があり、市町村長申立ては権利擁護の重要な手段になっています。

他の選択肢が不適切な理由
・配偶者と子どもに限る:民法第7条は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検察官を請求権者として定めています。
・検察官は請求できない:検察官も、公益の代表者として請求権者に含まれています(同条)。
・同居していなければ請求できない:四親等内の親族であれば、同居の有無は請求権の要件ではありません。

覚え方のポイント
申立権者は「本人・配偶者・四親等内の親族・(未成年)後見人等・検察官」+「市町村長(老人福祉法・知的障害者福祉法・精神保健福祉法)」。「四親等」は親族の範囲の「六親等」と混同しやすいので注意しましょう。
問32-12

成年被後見人の行為と成年後見人の権限に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①成年被後見人の法律行為は、原則として取り消すことができる。
  • ②日用品の購入その他日常生活に関する行為は、取消しの対象とならない。
  • ③成年後見人が居住用の不動産を処分するには、家庭裁判所の許可を要する。
  • ④成年被後見人が後見人の同意を得てした契約は、取り消すことができない。
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正解 ④成年被後見人が後見人の同意を得てした契約は、取り消すことができない。
解説
成年後見人には、保佐人や補助人と異なり、同意権がありません。成年被後見人は判断能力を欠く常況にあるため、たとえ後見人の同意を得ていても、その同意どおりに行動できるとは限らないからです。そのため、成年被後見人が自らした法律行為は、後見人の同意の有無にかかわらず取り消すことができます(民法第9条)。成年後見人は、同意によってではなく、本人を代理して契約などを行う代理権と、本人がした行為を取り消す取消権によって本人を保護します。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。以下は正しい記述です。
・法律行為は原則として取り消せる:民法第9条本文の規定です。
・日用品の購入など日常生活に関する行為は取り消せない:同条ただし書の規定で、本人の自己決定と日常生活の自由を尊重するための例外です。
・居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要:住まいを失うことは本人の生活に重大な影響を与えるため、売却、賃貸、賃貸借の解除などには家庭裁判所の許可が必要です(同法第859条の3)。

覚え方のポイント
権限の違いは「後見人=代理権・取消権(同意権なし)」「保佐人=同意権・取消権(代理権は審判で付与)」「補助人=審判で定めた範囲の同意権・取消権・代理権」。後見人に同意権がない理由を理解しておけば、ひっかけに強くなります。なお、2026年6月に公布された民法等の一部を改正する法律により、後見・保佐は補助に一元化されることになっています(公布から2年6か月以内に施行予定。2026年9月現在は未施行のため、現行の3類型で解答します)。
問42-12

保佐制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①保佐人には、保佐開始の審判によって当然に全ての法律行為の代理権が与えられる。
  • ②被保佐人が借財や保証をするには、原則として保佐人の同意を得なければならない。
  • ③被保佐人が日用品を購入するときも、保佐人の同意を得なければならない。
  • ④保佐人に代理権を与える審判は、本人の同意がなくても当然に行われている。
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正解 ②被保佐人が借財や保証をするには、原則として保佐人の同意を得なければならない。
解説
被保佐人が、借財や保証、不動産など重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為、訴訟行為、相続の承認や放棄など、民法第13条第1項に列挙された重要な行為をするには、保佐人の同意を得なければなりません。同意を得ずにした行為は取り消すことができます。被保佐人は日常の生活は自分で営めても、重要な財産行為では不利益を受けるおそれがあるため、その行為に限って保佐人のチェックを入れる仕組みです。

他の選択肢が不適切な理由
・当然に全ての代理権が与えられる:保佐人は、開始の審判だけでは代理権を持ちません。特定の法律行為について代理権を付与する審判が別に必要です(民法第876条の4第1項)。
・日用品の購入にも同意が必要:日用品の購入その他日常生活に関する行為は、保佐人の同意を要しません(同法第13条第1項ただし書)。
・代理権付与の審判は本人の同意がなくても行われる:本人以外の者の請求によって代理権付与の審判をするには、本人の同意が必要です(同法第876条の4第2項)。

覚え方のポイント
保佐は「13条1項の重要な行為は同意が必要(法律で自動的に決まる)」「代理権は審判で個別に付与(本人以外の請求なら本人の同意が必要)」。補助は同意権も代理権も審判で選ぶ、という違いと対比して覚えましょう。なお、2026年6月に公布された民法等の一部を改正する法律により、後見・保佐は補助に一元化されることになっています(公布から2年6か月以内に施行予定。2026年9月現在は未施行のため、現行の3類型で解答します)。
問52-12

事例を読んで、成年後見人である社会福祉士の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。〔事例〕Mさん(80歳、女性)は、特別養護老人ホームに入所しており、社会福祉士が成年後見人に選任されている。Mさんには十分な預貯金がある。ある日Mさんが「孫の結婚式に出たい。お祝いも渡したい」と繰り返し話した。施設の看護師によると、体調面では付き添いがあれば外出は可能とのことである。

  • ①財産を減らさないことが後見人の最優先の役割だと考え、出席も祝い金も断る。
  • ②Mさんの希望を尊重し、施設と相談して付き添いの手配と祝い金の支出を検討する。
  • ③外出の付き添いの手配や祝い金の支出には、事前に家庭裁判所の許可が必要だと伝える。
  • ④成年後見人は外出の介助を自ら行う義務があるので、自分が付き添って出かける。
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正解 ②Mさんの希望を尊重し、施設と相談して付き添いの手配と祝い金の支出を検討する。
事例のポイント
Mさんははっきりと希望を繰り返し述べており、預貯金は十分で、体調面でも付き添いがあれば外出できる状況です。後見人の役割が「財産を守ること」だけなのか、「本人の生活をよりよくすること」なのかが問われています。

解説
成年後見人は、生活、療養看護および財産の管理に関する事務を行うに当たって、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態と生活の状況に配慮しなければなりません(民法第858条)。財産は本人の生活と幸福のために使われるべきもので、本人の希望に沿った支出は、財産の状況から見て相当であれば後見人の職務にかなうものです。後見人は施設と相談し、付き添いの手配や祝い金の額を検討して、Mさんの希望の実現を支援します。

他の選択肢が不適切な理由
・財産を減らさないことを最優先にして断る:財産の保全だけを目的にして本人の意思を無視することは、本人の意思の尊重を定めた民法第858条の趣旨に反します。
・事前に家庭裁判所の許可が必要:後見人が家庭裁判所の許可を要するのは、居住用不動産の処分(民法第859条の3)など法律で定められた場合です。外出の手配や、財産の状況から見て相当な額の祝い金の支出に、事前の許可は求められていません。
・外出の介助を自ら行う義務がある:成年後見人の職務は法律行為が中心で、介護などの事実行為を自ら行う義務はありません。付き添いの手配をすることが職務です。

覚え方のポイント
後見人の二大原則は「本人の意思の尊重」と「身上への配慮」。「財産は本人のために使うもの」「後見人は介護の担い手ではなく、手配をする人」と覚えておくと、事例問題で迷いません。
問62-12

事例を読んで、地域包括支援センターの社会福祉士の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。〔事例〕Fさん(78歳、男性)は、アルツハイマー型認知症が進行し、自分の預貯金の額や使い道がほとんど分からない状態が続いている。一人暮らしで、配偶者や子はおらず、連絡の取れる親族もいない。最近、訪問販売の業者が頻繁に出入りしている様子を近隣の住民が心配して、センターに連絡してきた。

  • ①親族がいないため、市町村長による後見開始の審判の申立てについて市と協議する。
  • ②緊急性が高いため、地域包括支援センターが後見開始の審判を申し立てる。
  • ③日常生活自立支援事業の契約を本人と結ばせ、全財産の管理を社会福祉協議会に委ねる。
  • ④申し立てる親族がいないので、成年後見制度は利用できないとFさんに説明する。
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正解 ①親族がいないため、市町村長による後見開始の審判の申立てについて市と協議する。
事例のポイント
Fさんは判断能力を欠く状態が続いており、親族がいないため申し立てる人がいません。さらに訪問販売業者の出入りがあり、財産被害の危険が迫っています。

解説
判断能力を欠く常況にある人には、後見類型の成年後見制度の利用が考えられます。申し立てる親族がいない場合でも、市町村長は65歳以上の者の福祉を図るため特に必要があると認めるときは、後見開始の審判を請求できます(老人福祉法第32条)。地域包括支援センターの社会福祉士は、権利擁護業務としてFさんの状況を整理し、市の担当部署と市町村長申立てについて協議します。緊急性が高い場合は、審判前の保全処分の活用や、消費者被害への対応も並行して検討します。

他の選択肢が不適切な理由
・地域包括支援センターが申し立てる:後見開始の審判を請求できるのは民法第7条に定める者と市町村長(老人福祉法第32条)で、地域包括支援センターは請求権者ではありません。センターは市と協議し、市町村長申立てにつなぐ役割を担います。
・日常生活自立支援事業で全財産を管理:同事業は本人が契約内容を理解できることが利用の前提で、判断能力を欠く常況にあるFさんには適しません。また、全財産を包括的に管理する制度でもありません。
・親族がいないので利用できない:市町村長申立てという方法があり、誤った説明です。

覚え方のポイント
「判断能力を欠く常況+申立人がいない→市町村長申立て」「契約内容が理解できる程度の判断能力+日常的な金銭管理→日常生活自立支援事業」。判断能力の程度で制度を選び分けるのが事例問題の定石です。
問72-12

任意後見制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①任意後見契約は、契約を締結した時点から直ちに効力を生じる仕組みである。
  • ②任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。
  • ③任意後見人には、本人がした行為を取り消すことのできる取消権が与えられる。
  • ④任意後見契約が登記されていれば、どのような場合でも法定後見は開始できない。
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正解 ②任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。
解説
任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分になったときに備えて、自分で選んだ人(任意後見受任者)と、生活、療養看護、財産管理に関する事務の代理権を与える契約を結んでおく制度です。本人の意思を確実に確認し、内容を明確にするため、任意後見契約は公正証書によってしなければなりません(任意後見契約に関する法律第3条)。契約は公証人の嘱託により登記されます。自己決定の尊重を最もよく体現した制度といえます。

他の選択肢が不適切な理由
・締結した時点から直ちに効力を生じる:任意後見契約は、本人の判断能力が不十分になり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力を生じます(同法第2条・第4条)。
・任意後見人には取消権がある:任意後見人に与えられるのは契約で定めた代理権だけで、本人がした行為を取り消す権限はありません。取消権が必要な場合は法定後見の利用を検討します。
・どのような場合でも法定後見は開始できない:任意後見契約が登記されていても、本人の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は法定後見の開始の審判をすることができます(同法第10条)。

覚え方のポイント
任意後見は「公正証書で契約→登記→判断能力低下→任意後見監督人の選任で発効」の流れ。「代理権のみ・取消権なし」「任意後見が優先、ただし特に必要なら法定後見」の2点が頻出です。
問82-12

事例を読んで、地域包括支援センターの社会福祉士の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。〔事例〕Gさん(70歳、女性)は、夫を亡くして一人暮らしをしている。先日、軽度認知障害と診断されたが、日常生活は自立しており、自分の財産の状況もよく理解している。Gさんは「将来、お金の管理ができなくなったときに、信頼できる姪に任せたい。今のうちにできることはあるか」と相談に来た。

  • ①今のうちに後見開始の審判を申し立て、姪を成年後見人にするよう勧める。
  • ②日常生活自立支援事業を利用すれば、将来の財産管理を全て委任できると伝える。
  • ③姪を任意後見人とする契約には、家庭裁判所の許可が必要だと説明する。
  • ④判断能力があるうちに、姪と任意後見契約を結ぶ方法があることを説明する。
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正解 ④判断能力があるうちに、姪と任意後見契約を結ぶ方法があることを説明する。
事例のポイント
Gさんは現在は判断能力が保たれており、将来に備えて「信頼できる姪に任せたい」という明確な希望を持っています。今の判断能力の程度と、本人が自分で後見人を選びたいという意思が手がかりです。

解説
任意後見制度は、判断能力が十分なうちに、将来に備えて自ら選んだ人に代理権を与える契約を結んでおく制度です(任意後見契約に関する法律第2条)。Gさんのように、判断能力が保たれていて、誰に任せたいかという意思がはっきりしている場合に最も適した制度です。契約は公正証書で結び(同法第3条)、将来判断能力が低下したときに、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで効力が生じます。社会福祉士は制度を説明し、公証役場や専門職への相談につなぎます。

他の選択肢が不適切な理由
・今のうちに後見開始の審判を申し立てる:後見開始の審判は判断能力を欠く常況にある人が対象で、判断能力が保たれているGさんには当てはまりません。
・日常生活自立支援事業で将来の財産管理を全て委任:同事業は日常的な金銭管理や福祉サービスの利用援助を行うもので、財産管理全般を包括的に委ねる制度ではありません。
・家庭裁判所の許可が必要:任意後見契約は公正証書によって結ぶもので(同法第3条)、締結に家庭裁判所の許可は要りません。家庭裁判所が関わるのは、判断能力が低下した後に任意後見監督人を選任する段階です(同法第4条)。

覚え方のポイント
「今は大丈夫・将来に備えたい・人を自分で選びたい」の3つがそろえば任意後見が第一候補です。法定後見は「既に判断能力が低下している人」のための制度と区別しましょう。
問92-12

成年後見制度の利用の促進に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①政府は、成年後見制度利用促進基本計画を定めなければならない。
  • ②市町村は、基本計画を勘案して、区域の計画を定めるよう努める。
  • ③成年後見制度利用促進会議の庶務は、厚生労働省において処理する。
  • ④成年後見人となれる者を、弁護士などの専門職に限ると定めている。
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正解 ④成年後見人となれる者を、弁護士などの専門職に限ると定めている。
解説
成年後見制度の利用の促進に関する法律は、成年後見制度が十分に利用されていない状況を改善するため、2016年に制定されました。成年後見人となる者を専門職に限る規定はなく、同法はむしろ、市民の中から後見人を担う人材(市民後見人)の育成や活用を図ることを施策の一つとしています。後見人には、親族、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職、市民後見人、法人などが選任されており、本人にとって最もふさわしい人を家庭裁判所が選びます。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。以下は正しい記述です。
・政府は基本計画を定めなければならない:同法第12条の規定です。基本計画には、権利擁護支援の地域連携ネットワークや中核機関の整備などが盛り込まれています。
・市町村は区域の計画を定めるよう努める:同法第14条の規定で、市町村の計画策定は努力義務です。
・利用促進会議の庶務は厚生労働省:同法第13条第3項の規定です。

覚え方のポイント
利用促進法は「国=基本計画(義務)」「市町村=市町村計画(努力義務)・合議制の機関(努力義務)」という役割分担で覚えます。基本計画のキーワードは「本人らしい生活を守るための制度」「地域連携ネットワーク」「中核機関」「意思決定支援」です。
問102-12

事例を読んで、障害者の相談支援事業所の相談支援専門員(社会福祉士)の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。〔事例〕Hさん(55歳、男性)は、知的障害があり、グループホームで暮らしている。財産を管理してきた母親が亡くなり、兄弟もいない。成年後見制度の利用が必要と考えられるが、Hさんの収入は障害基礎年金と作業所の工賃のみで、申立ての費用や後見人への報酬が払えるか心配している。

  • ①報酬は必ず本人の財産から全額を支払う決まりなので、利用は難しいと説明する。
  • ②後見人への報酬は国が全額を負担する仕組みなので、費用の心配はいらないと説明する。
  • ③報酬が払えない場合は、日常生活自立支援事業に切り替えるしかないと説明する。
  • ④市町村の成年後見制度利用支援事業で、費用の助成を受けられる場合があると伝える。
答えと解説を見る
正解 ④市町村の成年後見制度利用支援事業で、費用の助成を受けられる場合があると伝える。
事例のポイント
Hさんは親族がおらず、成年後見制度の利用が必要と考えられる一方、収入が少なく費用面の不安が利用の妨げになっています。費用の負担を理由に制度の利用をあきらめさせない支援が求められます。

解説
成年後見制度利用支援事業は、低所得などの理由で制度を利用できない人を支えるため、市町村が申立てに要する費用や後見人等の報酬の全部または一部を助成する事業です。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく地域生活支援事業では市町村の必須事業とされ、介護保険の地域支援事業にも位置づけられています。助成の対象や上限は市町村ごとに定められているため、社会福祉士は市町村の窓口と確認しながら利用を支援します。親族がいない場合は、市町村長による申立ても検討できます。

他の選択肢が不適切な理由
・必ず本人の財産から全額を支払うので利用は難しい:助成の仕組みがあり、費用を理由に利用をあきらめさせるのは誤りです。
・国が全額を負担する:報酬は原則として本人の財産から支払われ、助成は市町村の事業として一定の要件のもとで行われるもので、国が一律に全額を負担する仕組みではありません。
・日常生活自立支援事業に切り替えるしかない:同事業は後見制度の代わりになるものではなく、本人の判断能力や必要な支援の内容によって使い分けるものです。

覚え方のポイント
「成年後見制度利用支援事業=申立費用・報酬の助成(市町村)」「市町村長申立て=申し立てる人がいないとき」。費用と申立人という、制度利用の2つの壁を越える仕組みとしてセットで覚えましょう。

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