2026年版・5-8

貧困に対する支援:概念と公的扶助の歴史の一問一答

社会福祉士国家試験「高齢者・児童家庭・貧困・保健医療」から、貧困に対する支援:概念と公的扶助の歴史に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。本試験は五肢択一を基本とする形式ですが、ここでは4択で出題しています。

問15-8

ラウントリー(Rowntree, B. S.)の貧困研究に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①ヨーク市の調査で、人の一生には貧困に陥りやすい時期が周期的に訪れることを示した。
  • ②ロンドン市の調査で、住民のおよそ3割が貧困の状態にあることを初めて明らかにした。
  • ③貧困を、社会で慣習となっている生活様式からの排除である相対的剝奪として捉えた。
  • ④貧困を、価値ある生き方を選ぶ実質的な自由であるケイパビリティの欠如として捉えた。
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正解 ①ヨーク市の調査で、人の一生には貧困に陥りやすい時期が周期的に訪れることを示した。
解説
ラウントリーは、イギリスのヨーク市で労働者世帯の生活を調査し(第1回は1899年)、栄養学の知見に基づいて最低限の生活費を算定して貧困線を引きました。そして、労働者の一生には、子ども時代、子育て期、老年期という3回、貧困線を下回りやすい時期が訪れること(ライフサイクルと貧困)を示しました。貧困の原因を個人の怠惰ではなく、低賃金や家族の構成、生活の段階といった社会的・構造的な要因に求めた点で、その後の社会政策に大きな影響を与えました。

他の選択肢が不適切な理由
・ロンドン市の調査で約3割が貧困:これはブース(Booth, C.)のロンドン調査の結果です。ブースは貧困地図を作成し、貧困の原因が雇用の問題にあることを示しました。
・相対的剝奪:これはタウンゼント(Townsend, P.)の貧困の捉え方です。
・ケイパビリティの欠如:これはセン(Sen, A.)の考え方です。

覚え方のポイント
貧困研究の人物は「ブース=ロンドン調査」「ラウントリー=ヨーク調査・第一次貧困と第二次貧困・ライフサイクル」「タウンゼント=相対的剝奪」「セン=ケイパビリティ」。都市名と概念を人物に結びつけて覚えましょう。
問25-8

ラウントリーが示した貧困の区分のうち、「総収入が、肉体的な能率を維持するための最低限の必要を満たすのにも足りない状態」を指すものとして、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①第二次貧困
  • ②相対的剝奪
  • ③第一次貧困
  • ④社会的排除
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正解 ③第一次貧困
解説
ラウントリーは、貧困を第一次貧困と第二次貧困に分けました。第一次貧困は、総収入が、肉体的な能率を維持するための最低限の必要(食料、住居、衣類など)を満たすのにも足りない状態です。どれほど賢く節約しても生活が成り立たない状態であり、原因は収入の絶対的な不足にあります。このように、生存や身体の維持に必要な最低限を基準として捉える貧困を、絶対的貧困と呼びます。

他の選択肢が不適切な理由
・第二次貧困:総収入は肉体的能率を維持するのに足りるものの、その一部が飲酒や賭け事など他の用途に使われることなどにより、最低限の必要を満たせなくなっている状態です。
・相対的剝奪:タウンゼントの概念で、その社会で一般的とされる生活様式や慣習的な活動から排除されている状態を指します。
・社会的排除:所得の不足だけでなく、労働、教育、社会関係、制度などから締め出されていく過程を捉える概念です。

覚え方のポイント
「第一次=収入そのものが足りない」「第二次=収入は足りるが使い方などで足りなくなる」。ラウントリーの貧困線は栄養学に基づく「絶対的貧困」の考え方で、タウンゼントの「相対的貧困(相対的剝奪)」と対比して覚えます。
問35-8

タウンゼント(Townsend, P.)の貧困研究に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①生存に必要な栄養の摂取量を基準とする絶対的貧困の測定を提唱した。
  • ②その社会で慣習となっている生活様式からの排除を相対的剝奪とした。
  • ③救済に値する貧民と値しない貧民とを区別することを重視していた。
  • ④貧困の原因は、主に個人の道徳的な欠陥や怠惰にあると主張していた。
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正解 ②その社会で慣習となっている生活様式からの排除を相対的剝奪とした。
解説
タウンゼントは、貧困を、その社会で当然とされる食事、衣服、住まい、社会的な活動や慣習(友人を招く、誕生日を祝うなど)に参加するための資源を欠き、標準的な生活様式から排除されている状態として捉え、これを相対的剝奪と呼びました。そして、こうした剝奪の指標を用いて、ある所得水準を下回ると剝奪の度合いが急に高まることを示しました。貧困は生存の問題だけでなく、社会の一員として生活できるかどうかの問題でもあるという考え方で、現代の相対的貧困の考え方の基礎になっています。

他の選択肢が不適切な理由
・栄養の摂取量を基準とする絶対的貧困:ラウントリーが用いた考え方です。タウンゼントはこれを批判し、社会的な基準による相対的な捉え方を示しました。
・救済に値する貧民と値しない貧民の区別:慈善組織協会(COS)などが重視した考え方です。
・原因は個人の道徳的な欠陥:新救貧法やCOSの時代に見られた貧困観で、タウンゼントは貧困を社会の構造の問題として捉えました。

覚え方のポイント
「絶対的貧困=生存に必要な最低限(ラウントリー)」「相対的貧困・相対的剝奪=その社会の標準的な生活からの排除(タウンゼント)」。社会が豊かになれば貧困の基準も変わる、という点が相対的な捉え方の特徴です。
問45-8

OECDの基準などで用いられる「相対的貧困率」の説明として、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①等価可処分所得が全世帯の平均値の半分に満たない世帯員の割合
  • ②世帯の所得が生活保護基準を下回っている世帯員の割合
  • ③世界銀行の国際貧困ラインを下回る所得で暮らす人の割合
  • ④等価可処分所得が中央値の半分に満たない世帯員の割合
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正解 ④等価可処分所得が中央値の半分に満たない世帯員の割合
解説
相対的貧困率は、世帯の可処分所得(手取り収入)を世帯人員の平方根で割って調整した等価可処分所得を用い、その中央値の半分(貧困線)に満たない世帯員の割合として算出されます。平均値ではなく中央値を使うのは、ごく一部の高所得者によって基準が引き上げられるのを避けるためです。日本では厚生労働省の国民生活基礎調査などで公表されており、子どもの貧困率やひとり親世帯の貧困率も同じ方法で算出されます。

他の選択肢が不適切な理由
・平均値の半分:相対的貧困率の貧困線は、平均値ではなく中央値の半分です。平均値は高所得者の影響を受けやすいためです。
・生活保護基準を下回る世帯員の割合:生活保護基準は国が定める最低生活費で、相対的貧困率の貧困線とは算出の方法が異なります。
・国際貧困ラインを下回る人の割合:世界銀行が定める国際貧困ラインは、主に途上国の極度の貧困を測る絶対的な基準です。

覚え方のポイント
相対的貧困率は「等価可処分所得」「中央値」「半分」の3つのキーワードで覚えます。「等価」は世帯人数の違いを調整するため、「可処分」は税や社会保険料を差し引いた手取りで比べるため、と意味から理解しておきましょう。
問55-8

1874年に制定された恤救規則に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  • ①国家の責任で困窮者を救済する義務を明確に定め、国民に保護を受ける権利を認めた。
  • ②1929年に制定され、市町村長を救護機関、方面委員をその補助機関として位置づけた。
  • ③救済を人民相互の情誼に委ね、身寄りのない極貧者などに限って国が救済を行った。
  • ④困窮者が救済の決定に不服がある場合に、不服を申し立てる手続を定めていた。
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正解 ③救済を人民相互の情誼に委ね、身寄りのない極貧者などに限って国が救済を行った。
解説
恤救規則は、明治政府が1874年に定めた日本で最初の全国的な救貧制度です。困窮者の救済は本来、家族や親族、近隣の人々の助け合い(人民相互の情誼)によって行うべきものとし、それに頼ることのできない「無告の窮民」、つまり身寄りのない極貧の独身者で、老衰、疾病、障害、13歳以下の幼少などにより働けない者に限って、一定の米代を支給するものでした。国の責任は極めて限定的で、救済を受けることは恩恵とされ、権利とは考えられていませんでした。

他の選択肢が不適切な理由
・国家の責任を明確にし保護を受ける権利を認めた:国家責任による救済と保護請求権が明確になったのは、戦後の1950年に制定された生活保護法です。
・1929年に制定され、方面委員を補助機関とした:これは救護法の内容です。救護法は1929年に制定され、1932年に施行されました。
・不服申立ての手続を定めていた:恤救規則には不服申立ての仕組みはありませんでした。不服申立てが制度化されたのも1950年の生活保護法です。

覚え方のポイント
日本の公的扶助は「1874年 恤救規則(人民相互の情誼)→1929年 救護法(公的救護義務、ただし請求権なし)→1946年 旧生活保護法(欠格条項あり)→1950年 生活保護法(保護請求権・不服申立て)」。権利性が段階的に強まる流れで覚えましょう。
問65-8

1929年に制定された救護法に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①要救護者に保護を請求する権利を認め、不服を申し立てる制度も設けていた。
  • ②1929年に制定されたが、財源の問題から1932年になって施行された。
  • ③市町村長が救護機関とされ、方面委員がその補助機関と位置づけられた。
  • ④救護の種類は、生活扶助、医療、助産、生業扶助の4種類とされていた。
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正解 ①要救護者に保護を請求する権利を認め、不服を申し立てる制度も設けていた。
解説
救護法は、公的な救護を国の義務として初めて定めた法律ですが、救護は国の義務であっても、それを受けることは国民の権利とはされず、要救護者に保護を請求する権利や、不服を申し立てる制度は設けられていませんでした。また、素行不良の者などを救護の対象から外す欠格条項も置かれていました。救護法は、恤救規則に比べて救護の対象と内容を広げた点で前進でしたが、権利としての生活保障は戦後の生活保護法を待たなければなりませんでした。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。以下は正しい記述です。
・1929年制定、1932年施行:世界恐慌の影響などで財源の確保が難しく、施行が遅れました。
・市町村長が救護機関、方面委員が補助機関:救護の実施は市町村長が担い、方面委員が補助機関として救護の事務に協力しました。
・救護の種類は4種類:生活扶助、医療、助産、生業扶助の4種類で、居宅での救護を原則としました。

覚え方のポイント
救護法は「公的救護義務(国の義務)はあるが、保護請求権(国民の権利)はない」。義務と権利の違いを押さえることが、生活保護法との比較問題を解く鍵になります。
問75-8

戦後の生活保護制度の成立に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①1946年の旧生活保護法には、素行不良の者などを保護しない欠格条項があった。
  • ②1950年の生活保護法では、国民が保護を請求する権利が明確に認められた。
  • ③1950年の生活保護法では、保護の決定などに対する不服申立ての制度が設けられた。
  • ④1950年の生活保護法では、民生委員が保護の実施機関として位置づけられた。
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正解 ④1950年の生活保護法では、民生委員が保護の実施機関として位置づけられた。
解説
1950年の生活保護法では、保護の実施機関は都道府県知事、市長、福祉事務所を管理する町村長とされ(生活保護法第19条)、実際の事務は社会福祉主事などの専門の職員が担う体制になりました。民生委員は、市町村長、福祉事務所長、社会福祉主事の事務の執行に協力する協力機関と位置づけられています(同法第22条)。旧生活保護法では民生委員が補助機関として保護の事務を担っていましたが、専門職による公的責任のもとでの実施へと改められたのです。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。以下は正しい記述です。
・旧法には欠格条項があった:1946年の旧生活保護法は、GHQの覚書を受けて無差別平等を掲げつつも、素行不良の者や勤労を怠る者などを保護しない欠格条項を残していました。
・保護請求権の明確化:1950年の生活保護法は、憲法第25条の生存権の理念に基づき、国民が保護を請求する権利を明確にしました。
・不服申立ての制度:保護の決定などに不服がある場合に、審査請求などで争う仕組みが設けられました。

覚え方のポイント
民生委員の位置づけは「旧生活保護法=補助機関」「現行の生活保護法=協力機関」。実施機関は「都道府県知事・市長・福祉事務所を管理する町村長」です。旧法と新法の違いを表にして覚えると確実です。
問85-8

公的扶助の意義と特徴に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

  • ①ナショナル・ミニマムは、ウェッブ夫妻が提唱した考え方である。
  • ②公的扶助は、保険料を拠出したことを給付の要件としている。
  • ③公的扶助は、生活困窮者の最後のセーフティネットと位置づけられる。
  • ④公的扶助は、租税を財源とし、給付に際して資力調査を伴う。
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正解 ②公的扶助は、保険料を拠出したことを給付の要件としている。
解説
公的扶助は、租税を財源とし、生活に困窮している人に対して、資力調査(ミーンズテスト)によって困窮の程度を確かめたうえで、最低限度の生活を保障するために行われる給付です。保険料の拠出を給付の要件とするのは社会保険の特徴であり、公的扶助は拠出の有無を問いません。拠出を要件としないからこそ、保険料を納められなかった人や、社会保険の給付だけでは生活できない人も含めて、最後の支えとなることができるのです。

他の選択肢が不適切な理由
※この問題は「誤っているもの」を選ぶ問題です。以下は正しい記述です。
・ナショナル・ミニマムはウェッブ夫妻:イギリスのウェッブ夫妻が、国家が国民に保障すべき最低限の生活水準として提唱し、のちのベヴァリッジ報告にも受け継がれました。
・最後のセーフティネット:社会保険や社会手当などの他の制度で生活が維持できない場合に、最終的に生活を保障する仕組みです。
・租税を財源とし資力調査を伴う:公的扶助は、困窮の程度を確認して必要な分だけを補う選別主義的な給付です。

覚え方のポイント
「社会保険=拠出あり・資力調査なし」「公的扶助=拠出なし・資力調査あり・租税財源」。この2つを対にして覚えると、社会保障の体系の問題にも応用できます。
問95-8

事例を読んで、福祉事務所の面接相談員(社会福祉士)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。〔事例〕DDさん(58歳、男性)は、仕事と住まいを失い、半年前から市内の公園で寝泊まりしている。体調が悪化し、支援団体の職員に付き添われて福祉事務所に来所した。DDさんは「住所がないから生活保護は申請できないと聞いた」と話している。

  • ①住所が定まるまでは保護の申請ができないので、先に住まいを探すよう伝える。
  • ②58歳は働ける年齢なので、仕事が見つかるまでは申請できないと説明する。
  • ③住所がなくても、現在地を所管する福祉事務所で申請できることを説明する。
  • ④以前に住んでいた市の福祉事務所でなければ申請できないと説明する。
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正解 ③住所がなくても、現在地を所管する福祉事務所で申請できることを説明する。
事例のポイント
DDさんは住まいを失い、体調も悪化しています。「住所がないと申請できない」という誤った情報によって、必要な保護から遠ざけられている状況です。

解説
生活保護法では、保護の実施機関は、その管理する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者のほか、居住地がないか明らかでない要保護者であって所管区域内に現在地を有する者について、保護を決定し実施しなければならないとされています(生活保護法第19条)。住所がないことは申請を妨げる理由にはなりません。面接相談員は、誤解を解いて申請の意思を確認し、体調の悪化に対しては医療扶助による受診や、住まいの確保に向けた支援も併せて検討します。

他の選択肢が不適切な理由
・住所が定まるまで申請できない:現在地を所管する福祉事務所が保護を実施するため、誤った説明です。
・働ける年齢なので申請できない:年齢や稼働能力があることだけを理由に申請を拒むことはできません。能力の活用は、保護の要否の判断の中で個別に検討されるものです。
・以前に住んでいた市でなければ申請できない:居住地がないか明らかでない人については、現在地を所管する福祉事務所が保護を実施します(生活保護法第19条第1項第2号)。以前の住所地に戻って申請する必要はありません。

覚え方のポイント
「居住地がない人は現在地の福祉事務所が実施」「申請権を侵害しない(申請を受け付けない対応は不適切)」。ホームレス状態の人への支援では、保護の申請と同時に住まいの確保と健康の回復を一体的に考えます。
問105-8

事例を読んで、自立相談支援機関の相談支援員(社会福祉士)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。〔事例〕EEさん(40歳、女性)は、小学生の子どもと二人で暮らしている。パートの収入が減り、家賃や食費にも困るようになった。相談支援員が生活保護制度について触れると、EEさんは「生活保護を受けるのは恥ずかしい。周りに知られたくない」と話した。

  • ①自立支援制度の支援を先に受けなければ、生活保護は申請できないと伝える。
  • ②親族に扶養してもらえば申請の必要はないとして、親族への連絡を強く勧める。
  • ③生活保護は法律に基づく権利だと伝え、気持ちに寄り添い利用を一緒に考える。
  • ④申請には資産がない確証が必要なので、まず全ての持ち物を売るよう指示する。
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正解 ③生活保護は法律に基づく権利だと伝え、気持ちに寄り添い利用を一緒に考える。
事例のポイント
EEさんは生活に困窮し、子どもの生活にも影響が出るおそれがありますが、生活保護への恥の意識(スティグマ)から制度の利用をためらっています。本人の気持ちと、必要な支援につなぐことの両方が問われています。

解説
生活保護法は、日本国憲法第25条の理念に基づき、生活に困窮する全ての国民に、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに自立を助長することを目的としています(生活保護法第1条)。保護は、要件を満たす限り無差別平等に受けることのできる権利です(同法第2条)。相談支援員は、恥ずかしいと感じる気持ちを否定せずに受け止めたうえで、生活保護は権利であり、秘密は守られることを伝え、他の制度の活用も含めてEEさんと一緒に検討します。

他の選択肢が不適切な理由
・自立支援制度の支援を先に受けなければ申請できない:生活困窮者自立支援制度は生活保護に至る前の段階の支援ですが、生活保護の申請の前提条件ではありません。保護は要保護者本人などの申請に基づいて開始されます(生活保護法第7条)。
・親族への連絡を強く勧める:扶養は保護に優先しますが、申請の要件ではありません。本人の意向を無視して親族への連絡を迫ることは不適切です。
・全ての持ち物を売るよう指示する:資産の活用は要件ですが、日常生活に必要な物まで処分する必要はなく、申請前に全てを売らせることは誤った指示です。

覚え方のポイント
スティグマへの対応は「気持ちを受け止める→権利であることを伝える→秘密が守られることを伝える→本人が選べるように情報を提供する」。制度を知らない・使いにくいことが貧困を深める、という視点を持ちましょう。

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