2026年版・1-12

家族の理解と子どもの心の問題の一問一答

保育士 筆記試験「保育の心理学」から、家族の理解と子どもの心の問題に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問11-12

次のA〜Dの、家族を理解するための考え方や方法に関する記述について、正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせはどれか。
A 家族システム論では、家族の中で起きている問題を、原因から結果へ一方向に進むものとしてではなく、家族成員どうしが互いに影響し合う円環的な関係の中でとらえる。
B ジェノグラムは、家族と、学校・医療機関・近隣などの社会資源との関係を線で結んで表した図である。
C 家族ライフサイクル論では、家族にも結婚、子どもの誕生、子どもの巣立ちなどの段階があり、それぞれの段階に発達課題があると考える。
D 家族システム論では、問題を示している家族成員をIP(患者とみなされた人)と呼び、その人だけを支援の対象とする。

  • ①A○ B○ C× D×
  • ②A× B× C○ D○
  • ③A○ B× C○ D×
  • ④A○ B× C○ D○
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正解 ③A○ B× C○ D×
解説

正解は「A○ B× C○ D×」です。
・A:○。家族システム論は、家族を、成員どうしが影響し合う一つのまとまり(システム)とみなします。例えば「子どもが登園を渋る→母親が不安になる→父親が母親を責める→子どもがさらに不安定になる」のように、原因と結果が輪のようにつながる円環的因果律で問題をとらえます。
・B:×。家族と社会資源との関係を表す図はエコマップ(生態地図)です。ジェノグラムは、三世代以上の家族の構成や関係を、決められた記号で表す家族図です。
・C:○。家族ライフサイクル論は、個人と同じように家族にも発達の段階があり、段階ごとに乗り越える課題があるとする考え方です。第一子の誕生は、夫婦2人の生活から親としての役割を担う段階への移行にあたります。
・D:×。家族システム論では、問題を示している人をIP(Identified Patient:患者とみなされた人)と呼びますが、その人だけに原因があるとは考えません。IPの問題は家族全体の関係のあり方の表れととらえ、家族全体を支援の対象とします。

他の選択肢が不適切な理由

・A○ B○ C× D×:エコマップの説明をジェノグラムとしたBを正しいとし、家族ライフサイクル論Cを誤りとしています。
・A× B× C○ D○:円環的因果律の説明Aを誤りとし、IPだけを支援するというDを正しいとしています。
・A○ B× C○ D○:Dを正しいとした組み合わせです。IPという呼び方自体が「本人だけの問題ではない」という考え方から生まれた言葉です。

【覚え方のポイント】
ジェノグラムは「家族の中(世代のつながり)」、エコマップは「家族の外(社会資源とのつながり)」を描く図です。家族システム論は「犯人探しをしない」考え方、と覚えておくと、直線的因果や「IPだけを治す」というひっかけに気付けます。
問21-12

次の文は、仕事と家庭生活の関係に関する記述である。(A)(B)にあてはまる語句の正しい組み合わせはどれか。
仕事での疲れやいら立ちが家庭での子どもへの関わりに持ち込まれるなど、一方の役割で生じた状態や経験が、同じ人のもう一方の役割に影響を及ぼすことを(A)という。これに対し、夫が仕事で抱えたストレスが妻の心理的ストレスを高めるなど、ある人の状態が、身近な他者に伝わって影響を及ぼすことを(B)という。

  • ①A:スピルオーバー B:クロスオーバー
  • ②A:クロスオーバー B:スピルオーバー
  • ③A:スピルオーバー B:エンハンシング効果
  • ④A:アンダーマイニング効果 B:クロスオーバー
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正解 ①A:スピルオーバー B:クロスオーバー
解説

正解は「A:スピルオーバー B:クロスオーバー」です。
・A:スピルオーバー(流出)は、仕事と家庭のように、同じ人が担う複数の役割の間で、一方の状態が他方にあふれ出して影響することです。仕事の疲れで家事や育児に余裕がなくなる否定的な方向だけでなく、仕事の充実感が家庭での気持ちの余裕につながる肯定的な方向もあります。
・B:クロスオーバー(交差)は、ある人のストレスや気分が、配偶者など身近な別の人に伝わることです。スピルオーバーが「一人の中での役割間の影響」であるのに対し、クロスオーバーは「人と人との間の影響」です。
子育て家庭の保護者は、仕事と家庭の両方の役割を担っています。保育士が保護者の疲れやいら立ちの背景を理解するときに、こうした視点が役立ちます。

他の選択肢が不適切な理由

・A:クロスオーバー B:スピルオーバー:2つの語を逆にした組み合わせです。「同じ人の役割間」がスピルオーバー、「人から人へ」がクロスオーバーです。
・A:スピルオーバー B:エンハンシング効果:エンハンシング効果は、動機づけの分野で、ほめ言葉などの外からの働きかけによって、内発的動機づけが高まることを指して使われる語です。
・A:アンダーマイニング効果 B:クロスオーバー:アンダーマイニング効果は、自分からやりたくてしていた活動に報酬を与えると、かえって内発的動機づけが下がる現象です。仕事と家庭の関係を表す語ではありません。

【覚え方のポイント】
スピル(こぼれる)は「自分の中で、仕事の気持ちが家庭にこぼれる」、クロス(交わる)は「人と人の間で気持ちが行き交う」とイメージします。エンハンシング・アンダーマイニングは「報酬と意欲」の話なので、グループごと別の分野として切り分けましょう。
問31-12

4歳児クラスのRちゃんは、「せんせい」を「てんてい」、「さかな」を「たかな」のように発音することが多い。本人は元気よく話しかけてくるが、ときどき周りの子に発音をまねされることがある。保育士の関わりとして、最も適切なものはどれか。

  • ①正しい発音をゆっくり言って聞かせ、Rちゃんにも一緒に言ってみるよう促していく
  • ②保護者に誤りを伝え、家庭で毎日、発音の練習をしてもらうよう勧めていく
  • ③いずれ自然に治ることが多いので、周りの子がまねをしても特に対応はしない
  • ④言い直しはさせず正しい発音で自然に返し、話す意欲と周りの反応に気を配る
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正解 ④言い直しはさせず正しい発音で自然に返し、話す意欲と周りの反応に気を配る
解説

正解は「言い直しはさせず正しい発音で自然に返し、話す意欲と周りの反応に気を配る」です。「サ行」が「タ行」や「チャ行」に置き換わるような発音の誤りは構音の未熟さによるもので、幼児期にはよくみられます。サ行やラ行などは、音を正しく出せるようになる時期が比較的遅い音です。大切なのは、子どもが「話すことは楽しい」と感じ続けられることです。保育士は「そう、先生だね」のように、正しい音を含めてさりげなく返すことで、正しい発音のモデルを示します。また、友達からの指摘やまねで話すことをためらうようになっていないか、本人の様子に気を配ります。構音の誤りの原因には、発音に使う器官の形や動き、聞こえの問題が関わることもあるため、気になる様子が続くときは、保護者と相談して専門機関(言語聴覚士など)につなぐことも考えます。

他の選択肢が不適切な理由

・一緒に言ってみるよう促す:ゆっくり聞かせること自体は悪くありませんが、言わせて確かめるのは、形を変えた「言い直し」です。発音は本人が意識して直せる段階ではないことも多く、繰り返し求められると、話すこと自体をためらうようになるおそれがあります。
・家庭で毎日発音の練習をしてもらう:家庭で練習を求めると、保護者が気にして指摘する場面が増え、家庭も安心して話せる場でなくなるおそれがあります。発音の練習(構音の指導)が必要かどうかは、言語聴覚士などの専門家が判断するものです。気になる状態が続くときは、保護者と相談して専門機関につなぎます。
・周りの子がまねをしても特に対応しない:発音の誤りの多くは成長とともに整っていきますが、からかいやまねが続くと、Rちゃんが話すことを避けるようになるおそれがあります。保育士は、周りの子がまねをしない雰囲気づくりや、違いを認め合う関わりを意識します。

【覚え方のポイント】
構音への関わりは「直させない・責めない・正しい音で返す・話す意欲を守る・周りを見る」が基本です。気になるときの相談先として、言語聴覚士という専門職を覚えておきましょう。
問41-12

子どもの心身の健康に関する次のA〜Eの記述のうち、正しいものを2つ選んだ組み合わせとして正しいものはどれか。
A 心身症とは、身体の症状を示す病態のうち、その発症や経過に心理社会的な要因が密接に関わっているものをいう。
B チックは、本人の意思とは関係なく、急に繰り返し起こる体の動きや発声で、まばたきや咳払いのような形で現れることが多い。
C 連発・伸発・難発はチックの症状の分類であり、音声チックの現れ方を表す。
D 多彩な運動チックと音声チックが1年以上続く状態は、発達性協調運動症と呼ばれる。
E 心身症は、うつ病や神経症に伴って現れる身体の症状を中心とする概念である。

  • ①A・C
  • ②A・B
  • ③B・E
  • ④C・D
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正解 ②A・B
解説

正解は「A・B」です。
・A:○。心身症は、腹痛・頭痛・嘔吐などの身体の症状があり、その起こり方や経過にストレスなどの心理社会的な要因が深く関わっている状態です。子どもでは、朝になるとおなかが痛くなる反復性腹痛や、起立性調節障害などがよく知られています。体の症状は実際に起きているので、「気のせい」と片付けず、体と心の両面から受け止めることが大切です。
・B:○。チックは、突然起こる、速く、繰り返される運動や発声です。まばたき、首振り、肩すくめなどの運動チックと、咳払い、鼻をならすなどの音声チックがあります。
・C:×。連発(ぼ、ぼ、ぼく)、伸発(ぼーーく)、難発(……っぼく)は吃音の症状の分類です。チックの分類ではありません。
・D:×。複数の運動チックと音声チックがあり、1年以上続く状態はトゥレット症(トゥレット障害)と呼ばれます(アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5)。発達性協調運動症は、体の動きを協調させる技能が年齢に比べて著しく低い状態(いわゆる不器用さ)で、チックとは別のものです。なお、チックは幼児期から学童期に始まることが多く、成長とともに軽くなったり消えたりすることも少なくありません。
・E:×。日本心身医学会の定義では、神経症やうつ病など、ほかの精神障害に伴う身体症状は心身症から除かれています。心身症はあくまで「身体の病気」の側から見た概念です。

他の選択肢が不適切な理由

・A・C:吃音の分類をチックの分類としたCを選び、正しいBを落としています。
・B・E:心身症の範囲を取り違えたEを選び、正しいAを落としています。
・C・D:誤りの2つを選んだ組み合わせです。

【覚え方のポイント】
「連発・伸発・難発」は話し言葉の流れの乱れ=吃音、「まばたき・咳払い」は体の動きや声が勝手に出る=チック、と症状の中身で分けます。チックも吃音も、保育では指摘したりやめさせようとしたりせず、安心して過ごせる環境を整えることが基本です。
問51-12

次のA〜Dの、子どもの愛着や不安に関わる状態についての記述として、正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせはどれか。
A 生後半年を過ぎた頃から、養育者と離れるときに泣いたり後を追ったりする姿は、愛着の形成に伴ってみられる、発達上よくある反応である。
B 分離不安症は、愛着の対象から離れることへの不安が、発達の段階からみて不相応なほど強く、一定の期間以上続く状態をいう。
C 反応性アタッチメント障害の子どもは、初めて会う大人にもためらわずに近づき、なれなれしくふるまう特徴を示す。
D 反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害は、いずれも、極めて不十分な養育を経験したことが診断の要件に含まれる。

  • ①A○ B○ C× D○
  • ②A○ B× C○ D○
  • ③A× B○ C× D○
  • ④A○ B○ C○ D×
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正解 ①A○ B○ C× D○
解説

正解は「A○ B○ C× D○」です。
・A:○。特定の養育者との愛着が形づくられると、その人と離れることに不安を示すようになります。後追いや泣きは、愛着が育っている表れであり、それ自体は病的なものではありません。
・B:○。分離不安症は、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)に示された不安症の一つです。年齢にふさわしくないほど分離への不安が強く、子どもでは少なくとも4週間続き、生活に支障が出ている状態を指します。発達上ふつうにみられる分離不安とは区別されます。
・C:×。見知らぬ大人にもためらわず近づき、なれなれしくふるまうのは、脱抑制型対人交流障害の特徴です。反応性アタッチメント障害では反対に、つらいときにも養育者に慰めを求めない、慰められても反応が乏しいなど、情緒的に引きこもった姿が特徴です。
・D:○。DSM-5では、どちらの障害も、ネグレクトや養育者の頻繁な交代など、極めて不十分な養育を経験したことが診断の要件とされています。

他の選択肢が不適切な理由

・A○ B× C○ D○:分離不安症の説明Bを誤りとし、脱抑制型の特徴をRADとしたCを正しいとしています。
・A× B○ C× D○:発達上よくある分離不安Aを誤りとした組み合わせです。後追いは愛着形成の自然な表れです。
・A○ B○ C○ D×:Cの取り違えに加え、共通する要件Dを誤りとしています。

【覚え方のポイント】
同じ「不十分な養育」から生じても、向きが正反対です。反応性アタッチメント障害は「誰にも頼らない(抑制)」、脱抑制型対人交流障害は「誰にでも近づく(脱抑制)」。また、「分離不安」は発達の姿、「分離不安症」は程度と期間が過剰な状態、と「症」の有無で区別しましょう。
問61-12

次のA〜Dの、虐待が子どもに与える影響に関する記述について、正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせはどれか。
A 愛情や適切な養育を受けられない環境で、身長や体重の伸びが悪くなることがあり、保護されて環境が改善すると急速に伸びることがある。
B 大人の顔色をうかがい、先回りして大人の期待に沿う行動をとるなど、過剰に適応した姿を見せることがある。
C 子どもが同居する家庭で配偶者に暴力をふるうことは、児童虐待の防止等に関する法律で心理的虐待に当たるとされている。
D 子どもが同居する家庭で、配偶者に激しい暴言を繰り返し浴びせることは、身体への暴力を伴わないため、法律上の心理的虐待には当たらない。

  • ①A○ B× C○ D×
  • ②A× B○ C○ D○
  • ③A○ B○ C○ D×
  • ④A○ B○ C× D×
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正解 ③A○ B○ C○ D×
解説

正解は「A○ B○ C○ D×」です。
・A:○。十分な栄養や愛情のある関わりが得られない環境では、身長や体重の伸びが悪くなる成長障害がみられることがあります。保護されて安定した環境で生活するようになると、急速に身長・体重が伸びることがあり、これが養育環境の影響を示す手がかりにもなります。
・B:○。いつ叱られるか分からない環境で育つと、子どもは大人の顔色を読み、期待を先取りして「よい子」にふるまうことがあります。このような過剰適応は、問題がないように見えるため見逃されやすい点に注意が必要です。
・C:○。児童虐待の防止等に関する法律第2条第4号は、心理的虐待の一つとして「児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力」を挙げています。子どもが直接暴力を受けていなくても、目の前で家族が暴力を受ける体験は、子どもの心に深い傷を残すからです。
・D:×。同号の「配偶者に対する暴力」は、配偶者の身体に対する不法な攻撃で生命又は身体に危害を及ぼすもの「及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」と定義されています。身体への暴力がなくても、子どもの前で繰り返される激しい暴言は、心理的虐待に当たり得ます。

他の選択肢が不適切な理由

・A○ B× C○ D×:過剰適応Bを誤りとした組み合わせです。大人びた態度や先回りした行動も虐待の影響として現れることがあります。
・A× B○ C○ D○:成長障害Aを誤りとし、暴言は心理的虐待に当たらないというDを正しいとしています。
・A○ B○ C× D×:面前での配偶者への暴力を心理的虐待としない誤りです。法律に明記されています。なお、虐待は情緒面だけでなく、言葉や知的な発達の遅れにつながることもあります。

【覚え方のポイント】
虐待の影響は「体(成長障害)」「知的発達・言葉」「心と行動(過剰適応、落ち着きのなさ、対人関係の難しさ)」の3つの面に及びます。「よい子すぎる」「体が小さい」も見逃さない視点として覚えておきましょう。
問71-12

幼児期にみられる睡眠や排泄、家族の変化に伴う姿に関する次のA〜Eの記述のうち、正しいものを3つ選んだ組み合わせとして正しいものはどれか。
A 夜驚症(睡眠時驚愕症)では、眠りについてから比較的早い時間帯に突然叫び声を上げておびえるが、翌朝そのことを覚えていないことが多い。
B 悪夢は主にレム睡眠の間に生じ、目覚めた後に夢の内容を思い出せることが多い点で、夜驚症と区別される。
C 3歳を過ぎても、夜間の睡眠中に尿をもらすことが続く状態を、夜尿症という。
D 下のきょうだいの誕生をきっかけに、自分でできていたことをしなくなって甘える姿は、退行(いわゆる赤ちゃん返り)と呼ばれ、一時的なものであることが多い。
E 夜尿がある子どもには、夜中に起こしてトイレで排尿させる習慣をつけることが、改善のための基本とされている。

  • ①A・B・C
  • ②B・C・E
  • ③A・D・E
  • ④A・B・D
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正解 ④A・B・D
解説

正解は「A・B・D」です。睡眠や排泄の問題、家族の変化に伴う姿は、保護者が悩みを抱えやすく、保育士が相談を受けることの多いテーマです。
・A:○。夜驚症は、深いノンレム睡眠から不完全に目覚めるときに起こり、眠りについてから比較的早い時間帯(夜の前半)に多くみられます。叫び声を上げておびえ、声をかけてもなかなか落ち着きませんが、本人は翌朝そのことを覚えていないことが多いのが特徴です(アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5)。
・B:○。悪夢は主にレム睡眠の間に生じ、夜の後半に多くみられます。目覚めるとすぐに意識がはっきりし、怖い夢の内容を思い出して話せることが多い点で、夜驚症と区別されます(DSM-5)。
・C:×。夜尿症とされるのは、5歳を過ぎても夜間の睡眠中のおもらしが、一定の頻度で少なくとも3か月以上続く場合です(日本小児泌尿器科学会)。3歳頃の夜尿は、発達の途中でよくみられる姿です。
・D:○。退行は、不安などをきっかけに、以前の発達段階の行動に戻る姿です。下のきょうだいの誕生で親の関心が移ったと感じたときなどにみられ、気持ちを受け止めてもらうことで落ち着いていくことが多いとされます。
・E:×。日本小児泌尿器科学会は、夜尿症の生活指導の基本方針の一つに「中途覚醒を強制しないこと」を挙げています。夜中に起こしてトイレに行かせることは基本ではありません。

他の選択肢が不適切な理由

・A・B・C:夜尿症の年齢の目安を3歳としたCを選び、正しい退行の説明Dを落としています。
・B・C・E:夜尿症の年齢の目安(C)と、夜中に起こすことを基本とする誤り(E)を選び、正しい夜驚症の説明Aを落としています。
・A・D・E:夜中に起こして排尿させることを基本としたEを選び、正しい悪夢の説明Bを落としています。

【覚え方のポイント】
夜驚症は「夜の前半・ノンレム睡眠・翌朝覚えていない」、悪夢は「夜の後半・レム睡眠・内容を思い出せる」と対にして覚えます。夜尿は「5歳を過ぎて続けば夜尿症」「夜中に無理に起こさない」。赤ちゃん返りは、叱るのではなく甘えたい気持ちを受け止めることが基本です。
問81-12

次のA〜Dの、乳幼児の発達検査に関する記述について、正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせはどれか。
A 新版K式発達検査は、「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3つの領域から発達をとらえる。
B KIDS乳幼児発達スケールは、検査者が子どもに用具を示して、その場で課題に取り組ませる個別検査である。
C 遠城寺式乳幼児分析的発達検査法は、移動運動・手の運動・基本的習慣・対人関係・発語・言語理解の6つの領域で発達をみる。
D 新版K式発達検査の結果は、発達年齢や発達指数ではなく、知能指数(IQ)だけで表される。

  • ①A○ B○ C× D×
  • ②A○ B× C○ D×
  • ③A× B× C○ D○
  • ④A○ B× C× D○
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正解 ②A○ B× C○ D×
解説

正解は「A○ B× C○ D×」です。発達検査は、検査者が子どもに直接課題を行う「個別検査」と、保護者など子どもの日常をよく知る人が答える「質問紙」に大きく分かれます。
・A:○。新版K式発達検査は、検査者が積み木や絵カードなどの用具を使って子どもに課題を示す個別検査で、「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3つの領域で発達をとらえます。
・B:×。KIDS乳幼児発達スケールは、保護者など子どもの日頃の様子をよく知る人が、質問項目に答える質問紙形式の検査です。子どもにその場で課題を行わせる個別検査ではありません。
・C:○。遠城寺式は、運動(移動運動・手の運動)、社会性(基本的習慣・対人関係)、言語(発語・言語理解)の6つの領域ごとに発達の状態をグラフで表すことができます。
・D:×。新版K式の結果は、発達年齢(DA)と発達指数(DQ)で表されます。IQ(知能指数)は、ビネー式やウェクスラー式などの知能検査で用いられる指標です。

他の選択肢が不適切な理由

・A○ B○ C× D×:KIDSを個別検査としたBを正しいとし、遠城寺式の6領域Cを誤りとしています。
・A× B× C○ D○:新版K式の3領域Aを誤りとし、IQだけで表すというDを正しいとしています。
・A○ B× C× D○:遠城寺式Cを誤りとし、Dを正しいとした組み合わせです。

【覚え方のポイント】
「子どもに直接やってもらう」のが新版K式(3領域・DQ)、「保護者などに答えてもらう」のが津守式とKIDS、「6つの領域をグラフにする」のが遠城寺式、と実施方法と特徴で整理しましょう。どの検査も、結果は子どもの一側面です。日々の観察など、ほかの情報と合わせて理解することが大切です。
問91-12

4歳児クラスのKくんが、最近、目を強くぱちぱちさせたり、肩をすくめたりする動きを繰り返すようになった。保護者によると、家でも同じ様子がみられるという。保育士の対応として、最も適切なものはどれか。

  • ①動きが出たらやさしく声をかけ、止められたときにはしっかりほめていく
  • ②早めに医療機関で薬を出してもらい、動きを止めるよう保護者に勧める
  • ③指摘はせず見守り、様子を記録して保護者と共有し、生活の負担を探る
  • ④一時的なものが多いので、園での様子は保護者と共有せずに見守っていく
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正解 ③指摘はせず見守り、様子を記録して保護者と共有し、生活の負担を探る
解説

正解は「指摘はせず見守り、様子を記録して保護者と共有し、生活の負担を探る」です。Kくんの様子は、本人の意思とは関係なく起こる運動チックと考えられる姿です。チックは幼児期から学童期によくみられ、緊張や疲れ、興奮などで一時的に強まることがあります。本人がわざとしているのではないため、注意されると動きを意識してしまい、かえって不安や緊張が強まることがあります。保育士は指摘や注意をせずに見守り、いつ、どんな場面で多いかを記録します。そのうえで保護者と情報を共有し、生活の中に緊張や疲れの要因がないかを一緒に考えます。症状が長く続く、生活に支障が出ているなどの場合は、保護者と相談しながら医療機関への相談につなげることも考えます。

他の選択肢が不適切な理由

・声をかけ、止められたらほめる:やさしい声かけでも、動きのたびに声をかけると、本人が動きを意識し、緊張を高めることになります。チックは本人の意思で止められるものではないため、「止められたらほめる」関わりも、止められないときの失敗感につながります。
・早めに医療機関で薬を出してもらう:幼児期のチックは一時的に強まったり弱まったりしながら軽くなっていくことも多く、まずは生活の中での見守りが基本です。治療が必要かどうかは医師が判断するもので、保育士が服薬を勧める立場にはありません。症状が長く続く、生活に支障が出ている場合に、保護者と相談しながら受診につなげます。
・園での様子は保護者と共有しない:保護者も家庭での様子を気にかけています。いつ、どんな場面で多いかという園での情報は、緊張や疲れの要因を一緒に考える手がかりになるため、保護者と共有します。

【覚え方のポイント】
チックへの関わりは「叱らない・指摘しない・止めさせない」「記録して、保護者と共有する」「緊張や疲れの要因を探る」の3点です。吃音への関わり(言い直させない、最後まで聞く)と共通する考え方として覚えておきましょう。
問101-12

場面緘黙(選択性緘黙)に関する記述として、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)の考え方に照らして、最も適切なものはどれか。

  • ①DSM-5では、神経発達症群の中のコミュニケーション症に分類される
  • ②入園直後の最初の1か月だけ話せない状態は、場面緘黙と判断されない
  • ③家庭を含むあらゆる場面で話せないことが、診断の中心となる特徴だ
  • ④日本語をまだ十分に身に付けていないために話せない状態も含まれる
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正解 ②入園直後の最初の1か月だけ話せない状態は、場面緘黙と判断されない
解説

正解は「入園直後の最初の1か月だけ話せない状態は、場面緘黙と判断されない」です。場面緘黙(選択性緘黙)は、家庭など安心できる場面では話せるのに、園や学校など話すことが期待される特定の場面で、一貫して話せない状態が続くものです。アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)は、この状態が少なくとも1か月続くことを要件とし、その1か月は「学校に入った最初の1か月」だけに限られないとしています。入園や入学の直後は、新しい環境に慣れるまで口数が少なくなる子どもが多いため、その時期だけの一時的な沈黙で判断しないという意味です。保育では、話すことを強いずに、うなずきや指さし、身振りなど話し言葉以外の方法でも参加できる工夫をし、安心して過ごせる関係と環境を整えることが大切です。

他の選択肢が不適切な理由

・神経発達症群のコミュニケーション症に分類:DSM-5では、場面緘黙は不安症群に分類されています。以前の診断基準(DSM-IV)では、幼児期・小児期・青年期に初めて診断される障害の群に置かれていましたが、不安が中心の状態であることから不安症群へ移されました。
・あらゆる場面で話せないことが中心:家庭など他の場面では話せるのに、特定の場面で話せないことが特徴です。どの場面でもほとんど話さない場合は、言葉の発達の遅れなど別の要因も考える必要があります。
・日本語が身に付いていないため話せない状態も含む:DSM-5は、話せないことが、その場で求められる話し言葉の知識が不足していることによるものではないことを要件にしています。日本語を学んでいる途中の子どもが話さない場合は、場面緘黙とは区別して考えます。

【覚え方のポイント】
場面緘黙のキーワードは「場面によって」「不安のために」「話せない」の3つです。DSM-5では不安症群に入り、「1か月以上続く(入園・入学直後の1か月だけではない)」「言葉の知識不足によるものではない」ことが要件です。「選択性」という名前は、本人が話さないことを選んでいるという意味ではない点も押さえましょう。
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